はじめの1巻:「燈港メリーローズ」 20世紀初頭のアジアの港町舞台に描く令嬢と怪しい紳士の物語

都戸利津さんのマンガ「燈港メリーローズ」(白泉社)1巻の表紙
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都戸利津さんのマンガ「燈港メリーローズ」(白泉社)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、アジアの港町を舞台に、じゃじゃ馬の令嬢と、イカサマ紳士との出会いを描いた都戸利津さんのマンガ「燈港(トウラン)メリーローズ」(白泉社)です。

 20世紀初頭、3週間の船旅のすえに、令嬢のアゼリアはアジアの港町・燈港に着いた。母の遠縁で家庭教師をしていたエドガーを訪ねるためで、頼りはエドガーからの手紙だけ。気が強く行動力があるものの、世間知らずの面があるアゼリアは、見知らぬ異国でトラブルに巻き込まれるが、その前に現れたのは正体不明で、つかみどころのないオーガストという優男だった。あてもないアゼリアは、彼を頼って異国で過ごすことになる……というストーリーだ。

 ◇別冊花とゆめ編集部 岩切健太さん 「100年前のアジア外国人居留地がモデル」

 燈港は約100年前を舞台にした架空の港町ですが、当時アジアに実在した外国人居留地や港町の資料を徹底的に集め、当時の建物や人々の風俗、服装などをリアルに再現するよう心がけました。

 ファンタジーや時代物の作品を構想するとき、普通はキャラクターや設定から考えるかと思いますが、作者の都戸利津さんは「建物の素材から考える」と言い切るほどこだわりの人。そんなこだわりがいたるところに込められた、中世欧風の建物と漢字の看板とヤシの木が同じフレームに入る燈港の風景には、今までに一度も目にしたことがない魅力と、「そこにいる気分」を感じていただけるのではないかと思います。

 また混とんの町にふさわしく、起きる事件、出会う人々も怪しいものばかり。それでもさっぱりして前向きな主人公・アゼリアのおかげで息苦しさを感じることなく読んでいただけるかと。もっとも彼女のナイト役のオーガストが誰より怪しいのですが……。2人の他にも奇麗な13歳の双子やドジっ子メイド、オレ様な御曹司があなたをお待ちしています。

 謎だらけの第1巻ですが、都戸さんは若手ながらストーリー構成力は僕が知るマンガ家さんの中でも一番と言って良いほど。お付き合いいただければ、この先も決して後悔させません!

 ◇書店員の推薦文 青森・伊吉書院類家店の中村深雪さん「アゼリアの心の動きに注目」

 勝ち気だけれど素直なアゼリアと、背後に謎がたくさん隠されていそうなオーガスト。最初こそ衝突したものの意外と相性が良さそうな2人。今後どう信頼が結ばれていくのでしょうか。舞台となっている燈港の雰囲気にも心引かれます。1巻ではキャラクターがそろうまでのプロローグといった印象ですが、その中でもアゼリアの心の動きにぜひ注目していただきたいですね。物語にもキャラクターにも少しずつ謎がちりばめられており、続きが気になる作品です。

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