宮崎駿:「企画は間違いなかった」震災に涙こらえ

「コクリコ坂から」の企画・脚本を担当した宮崎駿さん
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「コクリコ坂から」の企画・脚本を担当した宮崎駿さん

 高度経済成長期を舞台に現代への応援歌を描くスタジオジブリ最新作「コクリコ坂から」(宮崎吾朗監督)の主題歌発表会見が28日、スタジオジブリ(東京都小金井市)であり、企画・脚本を担当する宮崎駿さんが登場した。宮崎さんは「この時期だからこそ、自分たちができることはアニメーションを作っていくことだ。歴史的な大震災をはさんで、自分たちが作ろうとしている映画がその時代の変化に耐えられるかどうかが最大の関心事だったが、この企画(ファンタジーではない物語)を作ってきたのは間違いなかったと思ってる」とコメント。震災の話題に触れる際、涙をこらえるシーンもあった。

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 主題歌に決まったのは、森山良子さんが76年に発表した「さよならの夏」のカバー曲で、手嶌葵さんが歌う「さよならの夏~コクリコ坂から~」。手嶌さんは、「主題歌に選ばれたことをうれしく思っている」とコメントしながらも、震災の話になると、言葉を詰まらせ、「震災に遭った方に、どのように声をかけていいか分かりません。しかし、一緒に手をつないでいけたらと思っています」と語った。

 宮崎吾朗監督は「震災の前日に、まさにこの主題歌のレコーディングをしていたが、この曲は単に若い男女が恋する歌ではなく、鎮魂歌に感じていた。そして震災が起こり、この歌の意味が非常に重く、自分にのしかかった」とコメントした。

 「コクリコ坂から」は佐山哲郎さん原作、高橋千鶴さん画の少女マンガで、ギャグあり、ラブストーリーありの青春物語。タイトルの「コクリコ」とはフランス語で「ひなげし」のこと。映画では、東京五輪目前の1963(昭和38)年の横浜を舞台に女子高生の初恋物語が描かれる。7月16日から全国東宝系でロードショー。(毎日新聞デジタル)

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