注目映画紹介:「台北の朝、僕は恋をする」 恋バナを軸にした軽妙なコメディー

「台北の朝、僕は恋をする」の一場面 (C)2010 Atom Cinema/greenskyfilms/All rights reserved.
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「台北の朝、僕は恋をする」の一場面 (C)2010 Atom Cinema/greenskyfilms/All rights reserved.

 ベルリン国際映画祭で最優秀アジア映画賞を受賞するなどさまざまな賞を受賞した台湾・米合作映画「台北の朝、僕は恋をする」(アーヴィン・チェン監督)が全国で公開中だ。恋人にふられたばかりの青年と、書店員の女の子との出会いを軸に、恋に発展していくさまを雑然とした台北の風景の中で描いた。ヴィム・ヴェンダース監督が製作総指揮でかかわっている。

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 台北に住むカイ(ジャック・ヤオさん)は恋人がパリに行ってしまい、さみしくてたまらない。自分もパリに行こうと本屋でフランス語の本を読み、熱烈な思いを彼女に伝えるが、彼女からは音沙汰がない。むなしい気分で両親が営む中華料理店を手伝い、立ち読みを繰り返す日々が続いている。書店員スージー(アンバー・クォさん)はそんなカイのことが気になっていた。結局恋人から別れの電話がかかってきたが、あきらめ切れないカイは、町の有力者で店の常連客のパオさん(カン・リンフォン)が、パリに行くお金を貸してくれるというので、条件付きという取引に応じる。事態は親友のカオ(ポール・チャンさん)、スージーをも巻き込む事件へと発展していく……。

 甘めのタイトルが付いているが、ラブストーリーというよりはコメディー色の方が強い。それも軽妙なタッチ(日本でいうと三谷幸喜風?)で、いちずな主人公カイと純粋なスージーのさわやかな若者たちを、ヤクザや刑事が取り巻くのだが、彼らもちょっとトボけていていい味を出している。ほとんど夜のシーンだが、屋台が並んだ街、地下鉄、公園の光が、薄暗さと温かさをかもし出し、なんともアジアっぽい風景になった。台湾のチェン監督は78年生まれの米国育ち。舞台は台湾でありながら、流れは米国のインディペンデント映画を見ているようだ。衣装の色あいに至るまでよく気を配っている。映画でありながら、アニメを見ているような気分になる。とりわけ、脇役の親友カオのひょうひょうとした雰囲気がマンガみたいで面白い。新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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