はじめの1巻:「銀の匙」 農高舞台の青春ストーリー 「ハガレン」作者が贈る“濃厚過ぎる”酪農ライフ

荒川弘さんのマンガ「銀の匙 Silver Spoon」(小学館)1巻の表紙
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荒川弘さんのマンガ「銀の匙 Silver Spoon」(小学館)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、「週刊少年サンデー」(小学館)で連載、「鋼の錬金術師」の作者・荒川弘さんが、進学学校出身の主人公が送る想定外の農業高校ライフを描いたマンガ「銀の匙 Silver Spoon」です。

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 携帯電話が通じない広大な平地で一人、ぼうぜんとたたずむ八軒勇吾(はちけん・ゆうご)。彼は北海道大蝦夷農業高校酪農科学科に入学したての生徒で、校内にいた牛を捕まえようと追いかけるうち、迷子になってしまったのだった。同じクラスの御影アキによって発見された八軒は、教室に戻り、そこで獣医や酪農家を目指す同級生らに出会って打ち解けるが、札幌の進学校出身で動物の扱いに不慣れな八軒にとって、同校での授業と寮生活は想定外のことばかりだった……という物語。

 ◇編集部からのメッセージ 少年サンデー編集部 坪内崇さん「思わず“食べたくなる”エピソードが満載」

 週刊少年サンデーで絶賛連載中の「銀の匙Silver Spoon」第1巻が大ヒット発売中です! 国民的ヒット作のファンタジー巨編「鋼の錬金術師」とうってかわって、北海道の農業高校を舞台にした青春ストーリーです。

 荒川先生の実家は、北海道で酪農をしている農家さんです。だからこそ伝えられるリアリティーのある描写と、一歩踏み込んだユーモアは必見です。

 これまで荒川先生と何度も取材に北海道まで行っていますが、そのたびにおいしい思いをしています。第1巻でも、思わず“食べたくなる”エピソードが満載です。(もちろん、編集部でも“卵かけごはん”が大ブームを巻き起こしました!)八軒といっしょに濃厚過ぎる、酪農ライフを楽しんでください!(八軒は苦しんでもおりますが……)

 ◇書店員の推薦文 まんが王八王子店の中島千明さん「“弱い主人公”がどう成長するか目が離せない」

 この作品のジャンルはおそらく「農業ギャグコメディー」なのだろうと思う。しかしギャグと言ってしまうには違和感を感じる。卵を産まない鶏はスモークチキンになるし、走れない馬は食肉になる。そんな農業の現実がまざまざと描かれているからだ。きっと作者が作品を通して伝えたいことは「鋼の錬金術師」の頃から変わらず、生、死、感謝などといったものなのだろう。ただ、今回の主人公は“弱い”。肉体的にも精神的にも弱い上にやりたいことがなにもない。そんな主人公が、農業で何を見つけ、どう成長するのか。目が離せない。

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