アニメ質問状:「ロウきゅーぶ!」美少女コメディーとスポ根の“二兎”追った

アニメ「ロウきゅーぶ!」の場面 (c)蒼山サグ/アスキー・メディアワークス/TEAM RO-KYU-BU!
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アニメ「ロウきゅーぶ!」の場面 (c)蒼山サグ/アスキー・メディアワークス/TEAM RO-KYU-BU!

 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、小学校の女子バスケ部の臨時コーチを務めることになってしまった主人公と部員たちの触れ合いを描いたスポーツコメディー「ロウきゅーぶ!」です。バーナムスタジオの里見哲朗さんに作品の魅力を語ってもらいました。

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 −−作品の概要と魅力は?

 小学生のミニバスケットボール(ミニバス)をはじめて取りあげたアニメです(たぶん)。

 通っている高校のバスケ部が活動停止となり、ぼんやりと日々を過ごしていた長谷川昴がむりやり引き受けさせられた小学校の女子バスケ部のコーチ。存続を懸けた試合が間近にせまっており、絶対に負けられないのだが、このバスケ部はできたばかりでバスケ経験者はたったのひとりしかいないという……。

 最初は気が進まない昴でしたが、少女たちのひたむきな姿勢から次第に真剣に向き合うようになり、少女たちは昴からバスケの技術や戦略を、昴は少女たちから失いかけたバスケへの情熱をそれぞれに受け取り、バスケットボールを通じて成長していく……元気でいちずな女の子たちの魅力も、本格的なバスケ描写も欲張りにつめこんだ青春スポーツコメディーです。

 −−制作決定の経緯と、アニメにするときに心がけたことは?

 二兎(にと)を追うことでしょうか。

 美少女コメディーとスポ根が融合した原作で、どちらかをメーンにすえてアニメ化というのが普通の判断だと思うのですが、今回はどちらにもかたよらず両方やっちゃおうと。やっぱり彼女たちの「絆」は重要なテーマでその絆を一番自然に表現できるのがミニバスのチームワークなんです。だからなかよく遊んだり練習した結果をちゃんと説得力のあるバスケシーンで描いてみよう。どちらも欠けてはいけない、ということを心がけていました。

 あと、スーパープレーは存在しないんです。小学生ですから。アニメで映えるのはやっぱりダンクシュートとか派手なプレーなんですが、今回は封印ということで小学生らしく両手でボールを抱えてシュートを打っています。

 −−バスケットボールというプレーの特殊な「動き」が要求されるアニメですが、制作にあたり研究したことはありますか?

 幸いなことに映像資料は豊富にある時代なのでプロの試合は参考にさせてもらってます。

 ミニバスはルールやボールのサイズなど、こまごまとふつうのバスケとは異なっているので、小学校でミニバスの見学をさせてもらって「(小学生には)バスケットボールって大きいなあ」と驚いたりとか(笑い)、「あれ? ミニバスって3ポイントシュートないの?」とか。バスケに詳しい原作者・蒼山サグさんの全面協力がなければシナリオもまともに上がらなかったと思います。感謝です。

 人気者ぞろいでなかなか時間が取れないにもかかわらず、声優さんたちにも、PVの撮影時実際にバスケの練習をしてもらいました。それもこれも雰囲気をつかんでアフレコに生かしてもらうためで、ほんといろいろお手数をおかけしております。

 −−作品を作るうえでうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 ついついスポーツとコメディーのどちらかが強くなってしまうのをみんなでかじ取りしながら「ロウきゅーぶ!ならではの黄金比」に整えていくのですが、そのバランスが難しかったです。

 あとはまあ覚悟はしていたのですが、バスケシーンはほんと難しかったです。「バスケをキチンと描こう」と口でいうのは簡単だったのですが、完全フリーでシュートを打つなんて練習シーンぐらいしかないわけで、必ずディフェンスがついてくるフェイントでかわす、姿勢を崩しながらボールを投げる、とその一連の動きを絵に描くというのはとてもハイレベル(かつ地味)な作業で、今回たずさわっていただいたアニメーターさんたちには頭が上がりません。

 −−今後の展開、読者へ一言お願いします。

 ここからますます彼女たちの魅力を引き出すバラエティーに富んだエピソードが展開されます。そしてその魅力や個性はこのチームの欠けてはならないピースとなっていきます。小学生は伸び盛り、目を離したすきにどんどん成長していきますのでどうぞお見逃しなく。

 バーナムスタジオ 里見哲朗(プロデュース)

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