マンガ質問状:「君と僕。」 読者の人気投票から連載へ 作者は過酷な取材旅行も

堀田きいちさんのマンガ「君と僕。」(スクウェア・エニックス)1巻の表紙
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堀田きいちさんのマンガ「君と僕。」(スクウェア・エニックス)1巻の表紙

 話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、男子高校生のゆるやかな日常を描いた堀田きいちさんのマンガ「君と僕。」(スクウェア・エニックス)です。ガンガンONLINE編集部の石川裕香さんに作品の魅力を聞きました。

ウナギノボリ

 −−この作品の魅力は?

 メーンキャラクターである、双子の兄弟・悠太と祐希、そして春、要の4人は幼稚園の頃からの幼なじみです。高校2年生になった彼らに転校生の千鶴が加わって、なんでもない日々を暇をつぶしながら過ごしていく……。「君と僕。」はそういうお話です。

 美しい顔立ちから抜群なボケを繰り出す双子の悠太・祐希、男としてのスペックは高いはずなのになぜか“いじられる”要、優しくて癒やし系だけどどこか空気を読めていない春、そんな4人を巻き込んで騒ぎを起こすスーパーマイペースな千鶴。5人が過ごす毎日は、ホントになんにもないけれど、何気ない会話や、行き過ぎた悪ふざけに「こいつらバカだな(笑い)」と思わずほおが緩んでしまったり。ときどき、好きな女の子のために頑張ったりしちゃうもんだから、胸がギュッとしめつけられたり……。

 今まさに青春ど真ん中にいる方々は、あるある!と共感したり、青春が思い出になってしまった方々は、過ぎてしまった日々をいとおしんだり。お気に入りのキャラを見つけて“もだえ”たり(笑い)、単純にコメディーとして楽しんだり……。読む人それぞれに楽しみを見つけられる作品ではないかなと思います。

 −−作品が生まれたきっかけは?

 月刊「少年ガンガン」の読者参加型マンガ賞「2Pギャグ頂上決戦GGグランプリ」が最初のきっかけでした。投稿された作品を雑誌に掲載し、読者の人気投票で勝ち残りを決めていく……という企画だったのですが、「君と僕。」はそこで優勝しました。

 そのとき掲載されていたのは「陽だまり幼稚園編」と「あきらくんとこーちゃん編」なのですが、こちらはコミックスの1巻で読むことができます。ただ、実は最初に投稿されたのは「あきらくんとこーちゃん編」の4コマ2ページだったのですが、こちらのみコミックス未収録で幻の2ページとなっています。

 優勝をきっかけに「ガンガン」で読み切りを掲載、さらにその後「ガンガンパワード」での連載が決まりました。連載するに当たって、どういう設定にしたら話を広げやすいか……どういう話を描いていきたいか……など先生と話し合いながら、今の形になっていきました。

 −−編集者として作品を担当するうえでうれしいこと、逆に大変だったエピソードを教えてください。

 編集者としてうれしいこと……というか楽しいことは、全員サービスや読者プレゼント、付録やドラマCDなどを企画することです。作るのも企画するのも楽しいし、何より先生や読者さんが「こういう企画をしてくれてうれしい」と言ってくれると編集者としてとてもうれしくなります。なので3巻以降は、コミックスが出るたびに、応募者全員サービスやプレゼント企画を実施するようにしてきました。今後も続けたいので楽しみにしていてもらえるとうれしいです。

 大変なのは、取材でしょうか。最近は学校もプライバシー保護などが厳しくてなかなか取材させてもらえなかったりするので……苦労しています。

 体力的に最も過酷だったのが修学旅行編を描くために行った1泊2日の取材旅行です。先生も私も前日徹夜で、始発の新幹線で京都まで行って、その日は深夜0時すぎまで取材。翌日は7時にチェックアウトして終電の新幹線まで取材……。最終的には時間が足りずに、堀田先生と二手に分かれて写真を撮るしかなくなって、夕暮れの京都でお互い独りぼっち……。さみしかったです……(笑い)。特に堀田先生は、縁結びで有名な地主神社に単身乗り込む羽目になってしまって……縁結び神社に独りで…!! ホントに申し訳ない“強行軍”でした。京都は本当にすてきな街だった……と先生と一緒に楽しかった思い出だけを拾って“反芻(はんすう)”することがあるのですが(笑い)、いつかゆっくりもう一度連れていってあげたいです。

 −−今後の展開、読者へ一言お願いします。

 10月からテレビ東京ほかにてテレビアニメの放送が決定しております。それから17日に最新コミックス10巻と、「君と僕。」の初めての書籍「堀田きいちOFFICIAL FANBOOK 君と僕。−AFTER SCHOOL−」が発売されます。ファンブックは、60ページを超える堀田先生の水彩イラストが掲載される画集パートのほか、初出しのキャラプロフィールやロングインタビュー、豪華執筆陣による「君と僕。」トリビュート企画、そして描き下ろしを含むコミックス未収録のエピソードを3本掲載など、見応え・読み応え抜群です。コミックス10巻とファンブック2冊購入キャンペーンのプレゼント企画も実施いたしますので、ぜひ2冊合わせてどうぞ!!

 また、月刊「Gファンタジー」10月号(こちらも17日発売です)から、“キミボク”連続付録もスタート!! 「キミボク。特製ボールチェーンマスコット」の応募者全員サービスを実施いたします。さらに12年3月発売予定のコミックス11巻初回限定特装版の予約受け付けも17日にスタート。……など、この秋は「君と僕。」をうんと盛り上げていきますので、楽しんでいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします!!

ガンガンONLINE編集部 石川裕香

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