竹内結子:はやぶさ君アフレコは「よこしまな気持ちを省いた」 映画「はやぶさ/HAYABUSA」主演

「はやぶさ/HAYABUSA」の恵役について語った竹内結子さん
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「はやぶさ/HAYABUSA」の恵役について語った竹内結子さん

 小惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトの挑戦と苦闘の日々を事実に基づいて描き出したエンターテインメント映画「はやぶさ/HAYABUSA」(堤幸彦監督)が全国で公開されている。竹内結子さんは、はやぶさの偉業の一端を担い、自らの生き方も見つめ直していく宇宙科学研究所(現・JAXA=宇宙航空研究開発機構)の職員・水沢恵役で主演を務めた。堤監督が「“完全コピー”にこだわった」という撮影の様子を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 映画「はやぶさ/HAYABUSA」は、日活撮影所(東京都調布市)に、はやぶさの管制室を忠実に再現したセットを作った。管制室と同じ大きさで、モニターやコンピューターの数、天井の明かりの配置など細部まで徹底的にこだわったという。俳優陣はモデルとなった実在の人物の髪形や振る舞い、ペンの持ち方まで気を配って演技に臨んだ。収録では、撮影した映像と資料VTRの映像を見比べて俳優の動きを確認することもあり、その場合には振り向くタイミングや笑うタイミングまで資料VTRと同じになるように堤監督がこだわって演出した。

 徹底した“完全コピー”映像を作り上げた一方、はやぶさの打ち上げなどは実際の映像を使用している。また登場人物のほとんどにモデルとなった実在の人物がいる中、竹内さんが演じる恵だけは、架空の人物だった。竹内さんは「徐々にどこがフィクションで、どこが実際のものか分からなくなった」という。恵が架空の人物だったため「ドキュメンタリーの中に入っていくような感覚が日々ありました」と撮影を振り返る。「こういう作品の作り方もあるんだなという感じでした。はやぶさに対してみんなが愛情を持っていて、現場が始まってから終わるまで、みんなが同じ気持ちを同じ量キープすることができた」と話した。

 また、はやぶさに対して「擬人化するような気持ちが芽生えた」という竹内さんは、「はやぶさ君と名前をつけたというところから、より深い親近感というか愛着が出てくるのかな」と分析。「『きみの名前が決まったよ、はやぶさっていうんだ』と言った瞬間から別の命を持った存在に変わる気がした」という。

 竹内さんは劇中で「はやぶさ君」の声も担当した。子どもたちに絵本「はやぶさ君の冒険日誌」を読むシーンで、竹内さんは収録前日まで自分が担当することを知らず、出演者の西田敏行さん、佐野史郎さん、高嶋政宏さん、鶴見辰吾さんらと誰が声を担当するのか、理想の声はどんな人かなどの話題で盛り上がっていたという。「その翌日、(西田さんら)みんなでお茶を飲んでいるときに『監督、はやぶさの声は誰がやるんですか?』ってうかがったら、『あなたですよ』って言われて『えー! やばい、どうしよう!』って慌てました」と明かし、「(その場にいた)みなさんはスッと黙って『結子ちゃんの思う通りやればいいんだよ、自分を信じなよ』って励まされました」と振り返る。竹内さんの理想の声は宮崎あおいさんで、ほかの出演者には、戸田恵子さんや劇場版アニメ「火垂るの墓」の節子ちゃんの声などを挙げる人もいたという。

 はやぶさ君のアフレコは、セットの片隅にマイクを置いて行われた。堤監督は「はやぶさ君の気分でお願いします」と指示するのみで、竹内さんは「それだけー!?」と困惑したというが、「周りのみなさんが(はやぶさに)子どものようなイメージを持っていると言っていたので、幼くするとこんな感じだろうとか。自分の中からよこしまな気持ちを省いてやってみました」と笑顔を見せていた。

 次回は竹内さんの人生観や休日の過ごし方などについて聞く。

 <プロフィル>

 たけうち・ゆうこ。80年4月1日生まれ、埼玉県出身。A型。96年、テレビドラマ「新・木曜の怪談『サイボーグ』」(フジテレビ系)で女優デビュー。99年10月からのNHK連続テレビ小説「あすか」で初主演でヒロイン役を務め、02年のフジテレビ月9ドラマ「ランチの女王」で同枠で初主演した。ドラマ、映画、CMで幅広く活躍し、代表作に映画「黄泉がえり」(03年)、映画「いま、会いにゆきます」(04年)、日本映画批評家大賞最優秀主演女優賞、山路ふみ子映画賞最優秀女優賞などを受賞した「サイドカーに犬」(07年)などがある。12年1月からは刑事役で主演する連続ドラマ「ストロベリーナイト」(フジテレビ系)がスタートする。

 *……映画「はやぶさ/HAYABUSA」は、02年夏、古書店で働きながら、宇宙への夢を追っていた水沢恵(竹内さん)が、宇宙科学研究所の的場(西田敏行さん)に誘われて、小惑星探査機の研究室に所属する。探査機は「はやぶさ」と名付けられて03年5月、宇宙へと旅立ち、05年9月、小惑星イトカワ上空に到着。プロジェクトチームは喜びに沸き立ち、恵は幼いころ宇宙の魅力を教えてくれた兄のことを思い出していた。しかし、はやぶさのミッションはスムーズに進まず、故障、そして燃料漏れが起こり、とうとうはやぶさからの通信が途絶えてしまった……という物語。「タイタニック」「アバタ−」などを手掛けてきた「20世紀フォックス映画」が製作し、12年春には全米10都市での公開を予定している。

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