はじめの1巻:「アゲイン!!」 モテキの作者・久保ミツロウが描く学園物語

久保ミツロウさんのマンガ「アゲイン!!」(講談社)1巻の表紙
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久保ミツロウさんのマンガ「アゲイン!!」(講談社)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は「週刊少年マガジン」(講談社)で連載、ひょんなことから高校時代を“アゲイン”することになった2人の男女の学園生活を描いた久保ミツロウさんのマンガ「アゲイン!!」です。

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 卒業式の日、亡き祖母に線香を上げて高校に向かう今村金一郎。金髪に長髪で近寄りがたい雰囲気を醸し出す彼は、3年間友達もなく、女の子とも一度も話したことがない。そんな孤独な彼が卒業式で思い出したのが入学式の時にいた応援団の女団長だった。女団長の写真見たさに、部室のあった立ち入り禁止の旧校舎に侵入した金一郎だが、そこで自分を怖がっている同級生の女子アキと遭遇し、2人は階段から転落して頭部を打つ。目が覚めた時、そこは……というストーリーだ。

 ◇編集部からのメッセージ 週刊少年マガジン編集部 瀧川洋さん「久保先生にホームで本懐を」

 いまや久保ミツロウ先生といえば「モテキ」なんですが、「モテキ」はいわば、アウェーで大勝ちした作品。久保先生のホームは、我らが「週刊少年マガジン」。あくまで少年マンガ!! ホームでさらなる大勝ちを収め、久保先生に本懐を遂げてほしい。我々もそんな思いでサポートしている最新作「アゲイン!!」第1巻です!

 高校生活になんの思い出もない金一郎と、高校生活をエンジョイしまくったアキが、なぜか一緒にタイムスリップ。高校3年間を入学式からアゲインする(やり直す)というお話。とは言っても……、高校時代の蹉跌(さてつ)をノスタルジックに振り返るというマンガではありません。久保先生の思いは、今頑張っている中高生の男子女子に向けられています。キミが死ぬほど悩んでいるその問題。意外となんとかなるのかもよ? 金一郎のように逆ギレしかできなくても、それで思いを吐き出せば、そっから新しいことが始まるかもよ? 人生を退屈にするのも面白くするのも、実はちょっとした違い。“モテキ”が来ないなら、いっそ自分から告白しちゃえ!という乱暴なメッセージが込められているのです!

 マンガとしては、久保先生の“キャラ作り”の才能が爆発。出てくる人間が、いちいち面白いんです。後ろ向きに見えて、実は最高に前向きなこの作品。絶対オススメ! 自信の一本です!!

 ◇書店員の推薦文 鹿児島・ひょうたん書店 筒口征洋さん「誰が読んでも面白いマンガ」

 この1巻を読んだだけで「さすが!」とうなるほどでした。タイムスリップで高校生活をやり直すというテーマだけでも食いついちゃいますが、まゆ毛がりりしい宇佐美先輩の暑苦しさは目が離せないし、ネクラに見えて頭の中は悪だくみでいっぱいの主人公も「いいぞもっとやれ」と応援したくなるし、チア部(チアガール部)の陰謀や駆け引きの応酬も手に汗握るし、キャラもドラマも何から何まで序盤から盛り上がり、これこそ本当の意味で「誰が読んでも面白いマンガ」と呼んでいいと思います。脱帽です。

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