注目映画紹介:「マイウェイ 12,000キロの真実」戦時下の2人の男の過酷な足跡をたどる

「マイウェイ 12,000キロの真実」の一場面(C)2011 CJ E&M CORPORATION&SK PLANET,ALL RIGHTS RESERVED
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「マイウェイ 12,000キロの真実」の一場面(C)2011 CJ E&M CORPORATION&SK PLANET,ALL RIGHTS RESERVED

 「シュリ」(99年)や「ブラザーフッド」(04年)で知られるカン・ジェギュ監督が、オダギリジョーさんと「ブラザーフッド」でも主演したチャン・ドンゴンさんを主役に据えた映画「マイウェイ 12,000キロの真実」が14日に公開される。1928年、日本占領下の朝鮮半島で始まる今作は、戦争を背景に、憲兵隊司令官を祖父に持つ長谷川辰雄と、使用人の息子のキム・ジュンシクの、過酷な足跡をたどる2人のヒューマンストーリーだ。

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 オダギリさん演じる辰雄と、チャンさん演じるジュンシクは、生まれも育った環境も違うものの、マラソンにかける情熱は同じだった。よきライバルとして五輪出場を目指していた2人だったが、戦争が勃発。2人は日本軍の兵士として戦地へ送られる……。米国の国立公文書館に保管されていた1枚の写真と、それにまつわるエピソードがカン監督の心をとらえた。それは、第二次世界大戦末期、米軍に捕えられたドイツ軍捕虜の中に東洋人がおり、その男性が語ったところによると、彼は日本、ソ連、ドイツの三つの軍服を着て戦い、ノルマンディーまでたどり着いたというのだ。果たして彼は、本当に国境を1人で渡ったのか? そんな想像から、この物語は生まれたという。

 かなりの力作だ。製作費は韓国映画史上最高額となる25億円。240日に及ぶ撮影は、ときにマイナス15度の厳寒の中で行われたという。のべ7000人を超えるエキストラと、100丁以上の銃や、4万5000発の弾丸が用意されたという戦闘シーンは、確かに迫力があり、感動する。ただ物語前半の、辰雄たち日本兵がジュンシクら朝鮮の人々に対する仕打ちは、見ていて正直、つらい。そのとき抱いた感情をどこまで自分の中で消化できるか。それによって今作に対する感動の度合いも変わってくるのではないか。14日から丸の内TOEI (東京都中央区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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