注目映画紹介:「おとなのけんか」 オスカー俳優4人が舞台劇の映画化に挑戦

「おとなのけんか」の一場面
1 / 1
「おとなのけんか」の一場面

 ジョディ・フォスターさん、ケイト・ウィンスレットさん、クリストフ・ヴァルツさん、ジョン・C・ライリーさんといった米アカデミー賞受賞歴もしくはノミネート歴のある4人が顔をそろえた「おとなのけんか」が18日、公開された。彼らをまとめ上げたのは、自身も「戦場のピアニスト」でアカデミー賞監督賞を受賞したロマン・ポランスキー監督。人気劇作家ヤスミナ・レザさんによる一幕劇が原作で、この舞台を見て、テンポのよさに引かれたポランスキー監督が映画化を決意。90分の原作をさらに切り詰め、80分を切る作品に仕上げた。

あなたにオススメ

 舞台は、米ニューヨークのブルックリン。11歳の子供同士のケンカの後始末のために集まった双方の親たち。かたや、金物屋を経営するマイケル(ライリーさん)と作家のペネロペ(フォスターさん)のロングストリート夫妻。かたや、弁護士アラン(ヴァルツさん)と投資ブローカーのナンシー(ウィンスレットさん)のカウアン夫妻。当初は穏やかに進んでいた話し合いだったが、徐々にこじれ、やがて収拾がつかなくなっていく。ちなみに、原題「carnage」を辞書で引くと、「大虐殺」「大殺戮(さつりく)」という恐ろしい日本語訳がついていた。

 被害者側のロングストリート家のアパートが主な舞台。4人の強烈な会話(それらは明らかにかみ合っていない)と、彼らが部屋をわたり歩く適度な動きが、単調になりがちな密室劇に程よい躍動感と緊張感を与えている。4人の俳優たちも、それぞれに与えられたキャラクターを非の打ちどころなく演じており、とりわけ、フォスターさんが演じるペネロペは、その神経質さが見ていて息苦しくなるほどだ。リアルタイムで進行する物語がいかにも演劇向きだが、演じる人の表情をスクリーン越しとはいえ間近で見られる映画の面白さはまた格別。これは演劇観賞では味わえない。18日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

映画 最新記事