注目映画紹介:「王様とボク」 18歳の不安と焦りを6歳で時が止まった幼なじみとの対比で描く

(C)2012「王様とボク」製作委員会
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(C)2012「王様とボク」製作委員会

 92年に発行されたやまだないとさんのマンガが原作で、「ブタがいた教室」(08年)の前田哲監督が映画化した「王様とボク」が22日に公開された。大人になる手前の年代の戸惑いを、思いっきりポップでみずみずしい色彩の中に描いた。出演は菅田将暉さん、松坂桃李さん、相葉裕樹さん、二階堂ふみさんとフレッシュな顔ぶれがそろった。子役もユーモラスな演技を見せている。

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 18歳の誕生日の夜。ミキヒコ(松坂さん)は恋人のキエ(二階堂さん)と初めて結ばれる。ミキヒコには、親友のトモナリ(相葉さん)のほかに、もう一人の幼なじみ、モリオがいた。しかしモリオは、不慮の事故によって6歳のときから昏睡状態だった。ある日、モリオが目覚めたことをニュースで知ったミキヒコ。キエと一緒に、病院を訪ねるが、モリオの心は6歳のままだった。自由気ままに振る舞うモリオに対して、大人になっていくことを感じるミキヒコは戸惑いを覚えて……という物語が展開する。

 10代の終わりに感じる「もう子どもではない」という思い。ミキヒコの不安と焦りは、12年の眠りから目覚めたモリオの純粋さを前にして、ますます増幅していく。今やNHKの連続テレビ小説「梅ちゃん先生」で、お茶の間でもおなじみになった松坂さんが、ミキヒコの複雑な心の内を丁寧に演じている。

 青春映画を手がけることが多い前田哲監督。この原作を10年も前から映画にしようと思っていたらしい。原作とは異なるラストは、今の時代に合わせて変更を加えた。青春への郷愁、悔い……さまざまな思いを投げかけてくる作品に仕上がった。22日からユナイテッド・シネマ豊洲(東京都江東区)、シネマート新宿(東京都新宿区)ほか全国で順次公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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