市川染五郎:「舞台に立って奇跡起こしたい」 会見詳報

会見する市川染五郎さん
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会見する市川染五郎さん

 公演中に舞台から転落し、大けがをした歌舞伎俳優の市川染五郎さんが17日、東京都内で事故後初めて会見し、関係者やファンへの謝罪とともに来年2月の公演で舞台に復帰することなどを明らかにした。松竹の安孫子正専務とともに会見場に歩いて現れた染五郎さんは、目立った外傷もなく、時折笑みを浮かべるなど元気な姿を見せた。

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 復帰時期などについて安孫子専務からの説明があった後、染五郎さんは「本当に申し訳ありません。私の基本的なミスで、多くの関係者多くの方々にご迷惑をおかけしたこと、本当に申し訳ありませんでした」と謝罪。「体の方も順調に回復してきております。また再び役者としての仕事ができることを許していただき、まずはそこに向かってリハビリをして仕事ができる体を作っていくことが今することだと思っています。これから気持ちを新たに、自分がやるべきことをきっちり考え、役者として歩み始められたらと思っています。本当に申し訳ありません」と再び頭を下げた。(毎日新聞デジタル)

 ■質疑応答■

 −−事故から入院、退院、今までを振り返って。

 そのとき舞台のせりに落ちたんですが、意識はあるんですけど、正直記憶が定かではなく、その中で病院に運ばれ、治療していただき手術をし、という形で、頭を強く打ったということと、右の方から落ちたみたいなので、肋骨と右腕を数カ所折ったり、ひびが入ったりというような状況で。

 まあ、なんて言いますか、気持ちの中では、意識がもうろうとしていたり体が動けない状態だったので、公演を途中で中止することになってしまい、その後の公演も出ることができない。どうやっても自分ができないこともあるんだなと、いまさらながら気づいた。

 そういう意味ではしっかりと地に足を着けて、自分にできることすべきことをしなければいけないなとこれまで考えてきたところです。本当に家族には迷惑をかけて申し訳ないと思いますが、これから体を治して、元気に働くことが恩返しになると思っています。

 −−もう舞台に立てないと思ったか? それとも絶対に立つんだと思っていたか?

 不安はありました。今までとこれからというように区切って考えようという思いもありました。ただ、絶対(舞台に)立てるんだということを当然だとは思っていませんでした。再び立つということを目標にしていこうと、新たに気持ちを持ったという感じですね。

 −−何が一番の支えになったか?

 家族をはじめ、それを支えてくれる方々、それから、今まで役者としてやってきた中で、ご縁のある方々に対して、何とか恩返したいという思いが強くなってきました。

 −−すぐにも舞台に立てそうに見えるが。

 今はリハビリをしている状況で、日常生活では、ほとんど折れた腕も動きますし、ただしっかり動くようになるまではもう少しリハビリの時間がかかるんですが、何かの後遺症が出てしまうということは幸いになく、今はリハビリと、骨折が治っていくのを安静にしているという感じです。

 −−現在のけがの状態は? 右手にサポーターをしているようだが。

 (右手首のサポーターを見せ)折れた部分にプレートをはめ込んでいる状態で、それをしながらリハビリをして動くように負荷をかけたりしている状況です。ある程度の段階になったらプレートを取ることにもなると思う。

 −−どんなリハビリを?

 何かを強く握ったり、ゆっくり曲げたりという感じですね。

 −−痛みは?

 腕はほとんどなくなってきまして、肋骨は固定できないので、以前はくしゃみをすれば響くということはありましたが、それもなくなって、回復に向かってるんだなと実感しています。

 −−舞台が近づいてきたという喜びは?

 まだ舞台に立てるような体ではないので、まずは体を元に戻す段階なので、そこからですね。そういうチャンスをいただいて本当にうれしいですけど、まだ準備は始まっていないので。

 −−家族の支えがあったということだが、お子さんたちの様子などは?

 その舞台には一緒に出る舞台でもありましたし、見ていたということもありますので、申し訳ない経験をさせてしまったなと申し訳ない気持ちでいっぱいですけど、それを、恩返しといいますか、それに対して、復活できるというのが自分自身の子供に対しての表現の仕方だと思っていますね。

 −−子供たちは毎日見舞いに来ていたと思うが?

 何を言った、何をしてくれたということよりも、何よりも自然に、通常通り学校に行ったり食事をしたりということが自分にとっては支えになってますね。

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 −−けが、事故はどうして起こった?

 本当に基礎的な部分でミスをしたと思っているくらい。思えば思うほど情けないことをしたなと思っています。一番気をつけなければならないことを忘れていた。それにつきることだと思います。私が書いて構成して出演するという舞台だったので、そういう演出を自分でつけていたということだと思う。

 −−勢いがつきすぎた?

 正直分かりません。細かいことを忘れていたのもありますし、もっと緻密に作らなければならなかったとも思いますし、そういうのが積み重なって起きてしまったと思いますね。

 −−娘が初舞台でほっとして?

 それはないと思いますね。自分のミスだと思っています。

 −−転落した後も、その場で踊っていたそうだが。

 ちょっとわからないですけど(苦笑)。そばにいる方に支えていただいたのが、この時期にこの状態でいられることだと思います。

 −−奇跡が起こった?

 それを奇跡というのであれば、舞台に立って出した結果次第だと思います。そのための今日だと思います。

 −−松本幸四郎さんは「覚悟した」ともおっしゃっていたが。

 実際、打った個所とかがはっきりしない時期は安静にしないといけない期間もありましたので、どれだけ心配をかけたか、想像以上の心配をかけたと思っています。同じ話になりますが、役者として舞台に立って結果を出すということで、奇跡を起こしたいと感じております。

 −−兄弟は?

 温かく見守ってくれています。

 −−一番つらかったのは?

 自分が招いたことではあるんですが、何もできないということは、どれだけつらいかということと、何かをできるのが当然ではないということを実感させられた。本当に申し訳ないということと、今ここにいることをありがたいと思うことばかりですね。

 −−今一番したいことは?

 一日でも早く舞台に立てるリハビリのやり方を知りたいですね。

 −−事故を経て違った風景が見えるか?

 平均寿命でいうと、来年早々に40歳になりますので後半戦に入ってくると思いますので(笑い)。地に足を着けてすべてを見渡して、すべてを行動していけるような、そこを目指して、そういう歩き方をしたいと思います。突っ走るとかではなくて、確実に前進していこうと思っています。

 −−事故が起きた芝居を改めて作り直してやる気持ちはあるか?

 あの公演は、結論から言うとやる意志はありません。あの作品に関してはあれがすべてだと思います。

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 −−9月に退院したそうだが、想像以上に早かったのか?

 ことのほか早く退院できたという実感は自分で分からないんですが、たとえば打った個所やぶつけた個所であったりというのが何カ所もあるんですけど、いい方向にといいますか、危険ではない個所であったり、方向に治ってきたりという、本当に順調に回復した結果がその時期になった。ありがたいと思いますし、リハビリの期間、治療、どういう結果であるかということは必要ではありますが、段階を踏んで回復に向かっていると思います。

 −−家族や支えてくれる方たちから印象的な言葉はあったか?

 あらゆる言葉あらゆる思いがあると思いますが、それは僕の心の中に大事にしておきたい。たくさんあったり、感じたりするところは強くあるんですが、申し訳ないんですが、心にしまっておきたいと思います。

 −−ファンへ言葉を。

 本当に当時会場に見に来ていただいた方々はもちろん本当に申し訳ない。ご迷惑をおかけした。本当におわびします。それ以降に関しても、数多くの励まし、支えになる力になる言葉たくさんいただいた。本当にこれは感謝。感謝の限りがございません。感謝いたします。そこで、結果を出す、形を出す、ということが私からの御礼の形だと思っていますので、それまで時間をお許しいただければという気持ちでいっぱいです。現在、感謝、おわびの気持ちでいっぱいです。

 −−稽古はいつから?

 具体的なところはまだです。ただ、あと1月ほどで順調にいけば体の方は治るという言葉は出るという所に向かっているというか、めどは立ってきているので、そこからがスタートだと思っています。

 −−復帰へスケジュールを。

 12月、1月にやらせていただくテレビの方は以前から決まっていた仕事で、12月から復帰させていただく。時代劇でして。NHK(のBS)でやらせていただきます。2月の演目等々はこれから決めさせていただきますが、その時までには何をやることになってもできる盤石の体を作るという、今は段階で、決まりましたら具体的に準備、稽古していくと思いますが、どのようなものになろうとも準備、作っていくということになると思います。

 −−治療で大変だったことは?

 肋骨が固定できないので、くしゃみをするとかだけで響いてしまうので、そういう痛さということは常に感じたりしておりましたが、その痛みも日に日に減ってきております。ということと、リハビリに関しては、腕のことを主にやっていますが、当然できたことができなくなっているのをやっているので、自分の頭の中と、動いている手のギャップといいますか、そういう感じが、なかなか精神的にも大変なことなんだなと思っています。でも、元のように動くようになると確信して、リハビリをしていただいているので、一日一日が大事なんだなと、それを支えにやっているということですかね。

 −−改めて具体的な病状を。

 右の腕の部分が折れている。肋骨も前の部分と後ろの部分が折れていたりひびが入っていたり。頭も打っていて、その部分は少しひびが入っていたそうです。入院期間、絶対安静の期間は強く頭を打っていたので慎重にならなければいけなかったということだそうです。後遺症とか脳波に異常があるとかは検査で全部クリアになって、何の問題もないということになりましたので、現在は肋骨等の部分が元のようになるまでリハビリをしていくという状態ですね。

 −−腕の骨折を治したりするため心がけていることなどは?

 薬をいただいたりはなく、逆に動いてストレッチしている。足腰が幸い何も打撲すらなかったようなので、ただ体力や筋力が落ちてるので、負荷をかけて。骨折の痛みとのバランスなんですが、早く筋力トレーニングができたらいいなと思っています。今はひたすらストレッチですね。

 −−食事は?

 制限は特にありませんので、おいしいものを食べて。

 −−せりに対する恐怖はあるか?

 2度とせりに乗りたくないとかは思いませんし、それに対する恐怖心は全くないです。それはせりに対して申し訳ないので(笑い)。

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