大滝秀治さん:お別れの会で倉本聰「どんどん遠くに。さびしいです」

祭壇に飾られた大滝秀治さんの遺影
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祭壇に飾られた大滝秀治さんの遺影

 肺扁平(へんぺい)上皮がんのため2日に死去した俳優の大滝秀治さん(享年87)のお別れの会が22日、東京・青山葬儀所で営まれた。大滝さんが出演したドラマ「北の国から」などの脚本を手がけた倉本聰さんが「あなたとテレビに打ち込んだ日々が、どんどん遠くにかすんでいきます。富良野の駅前にある北の国から資料館に、ずらりと飾られた出演者の顔写真に黒い喪章が年を追うごとに増えていきます。テレビがどんどん僕から離れます。さびしいです」などと別れの言葉を読み上げた。

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 お別れの会には、倉本さんや劇団民芸(当時、民衆芸術劇場)の同期生として入団した女優の奈良岡朋子さんをはじめ、女優の八千草薫さん、萬田久子さん、俳優の阿部寛さん、浅野忠信さんら、一般参列者を含む約980人が駆けつけ、名優に最後の別れを告げた。

 祭壇は白いユリなど1万本の花で飾られ、遺影は10年年頭に行われた舞台のパンフレット用に撮影されたもので、大滝さんが優しくほほ笑んだ写真が使用された。お別れの会は、「劇団民芸」によって取り仕切られ、大滝さんが出演した舞台「審判」「巨匠」などの映像も上映された。

 奈良岡さんは、「口癖の『濃ゆく、熱く』という言葉そのままの87年の人生だった。さよならは言えない。『行ってらっしゃい、元気でね』『会えてよかった。感謝してます、ありがとう』と言いたい」と語りかけた。

 大滝さんの遺作となった映画「あなたへ」に主演した高倉健さんは参列しなかったが、「大滝さんと一緒した仕事を思い出しております。大滝さんが歩まれた人生そのものを感じました。入院中にいただいたお手紙の中に、『僕にとってひとつの仕事は、いつもひとつの事件です』と書いてくださいました。その重みをかみ締めています」などとメッセージを寄せた。

 大滝さんは東京都生まれ。48年、民衆芸術劇場付属養成所に入所し、49年の「風の吹く一幕」(原源一作)で初舞台を踏んだ。50年の劇団民芸創立に研究生として参加し、旗揚げ公演のチェーホフ原作「かもめ」に出演。70年、東京裁判を描いた舞台「審判」で注目され、以降、劇団の中心俳優となった。ドラマ「うちのホンカン」や「特捜最前線」、映画「不毛地帯」「あにいもうと」「お葬式」などドラマや映画でも活躍。種田山頭火役で主演予定だった6月の民芸舞台「うしろ姿のしぐれてゆくか」(宮本研作)を体調不良のため降板し、病気療養中だった。11年の「帰還」(坂手洋二作)が最後の舞台となった。(毎日新聞デジタル)

◇主な参列者は以下の通り。(敬称略)

奈良岡朋子、樫山文枝、日色ともゑ、倉本聰、八千草薫、萬田久子、阿部寛、浅野忠信、藤岡弘、、夏木マリ、ガッツ石松、多岐川裕美、櫻井淳子、楠田枝里子、鳩山邦夫

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