眉村卓さんの人気SF小説を劇場版アニメ化した「ねらわれた学園」(中村亮介監督)が10日、公開される。サンライズが製作を担当し、10代の恋愛をファンタジックに描き出している。AKB48のまゆゆこと渡辺麻友さんが声優を務めている。
ウナギノボリ
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関ケンジ(声:本城雄太郎さん)は鎌倉の中学生。始業式の朝、犬の散歩中に二つの出会いがあった。高台で不思議な少年(声:小野大輔さん)に、そして海岸沿いではあこがれの生徒会書記の春河カホリ(声:花澤香菜さん)に遭遇した。涼浦ナツキ(声:渡辺さん)は、ケンジの幼なじみ。カホリに好意を寄せるケンジに複雑な思いを抱いている。ナツキはケンジへの思いを隠している。ケンジとナツキのクラスに、あの不思議な少年が転校してきた。京極リョウイチと名乗るその生徒は一風変わっていた。リョウイチが来て以来、学園では不思議なことが起こり始める……。
現代に設定を移してアレンジを加えたとはいえ、原作とはまるで違う物語と世界観で展開する。舞台は大阪から鎌倉へ、庭に小川が流れるおしゃれな学園に、お兄さんのような先生……。原作ファンとして戸惑いもあるが、群集心理を操って学園を乗っ取るという部分は踏襲し、自己が形成される中学時代のテーマ、周りに流されずにいかに自分を保つかという普遍的なテーマは描けている。
しかし、恋愛場面の配合が多いので、SFのシーンが唐突に感じられる印象も。恋愛部分は10代のキュンキュンとくる切なさが繊細に描かれていて、それはそれで楽しめる。幼なじみへの恋、あこがれからくる恋……。登場人物は中学生にしてはちょっとオマセだが、昔の少女マンガのような背伸び感が、また懐かしい。光があふれる画面は好き嫌いが分かれそうだが、フィクション度が上がって、ありえないからいいのかもという世界観を強調しているかのよう。少々まぶしいので、劇場ではあまり前列で見ない方がいいかもしれない。10日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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