9月から放送をスタートした、人気特撮ドラマ「仮面ライダー」の最新作「仮面ライダーウィザード」(テレビ朝日系毎週日曜午前8時)で、4曲もエンディングテーマがあるという異例の展開が注目されている。それぞれ2曲ずつ担当するギタリストの野村義男さん率いるバンド「RIDER CHIPS(ライダー・チップス)」と、ガールズユニット「仮面ライダーGIRLS」に話を聞いた。(毎日新聞デジタル)
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「仮面ライダーウィザード」は、平成仮面ライダーシリーズ14作目で、テーマは“魔法使い”。日食の際に行われた儀式で「人の心の絶望」から生まれた敵・ファントムを倒すべく、その儀式に巻き込まれつつも生き残った主人公・操真(そうま)晴人(白石隼也さん)が仮面ライダーに変身し、人々の希望となって戦う姿を描く。
エンディング曲は、ウィザードが戦闘時に「フレイム=火」「ウォーター=水」「ハリケーン=風」「ランド=土」と四つのスタイルを駆使して戦うことにちなんだもので、「仮面ライダーGIRLS」が「フレイム」と「ウォーター」を、「RIDER CHIPS」が「ハリケーン」「ランド」の楽曲をそれぞれ担当している。
野村さん率いる「RIDER CHIPS」は、「ハリケーン」「ランド」の各スタイルに向けた、「Blessed wind」と「Strength of the Earth」の2曲を担当。両曲の作曲は野村さんが手がけている。
「ライダーの変身スタイルに合わせて、戦っているときに映える曲を意識して作りました。ハリケーンスタイルは風のライダーなんですが、『Blessed wind』は、ずっと風が吹いているようにギターのリフをずっとループさせて弾き続けていたり。ランドスタイルのほうは土のライダーなんですけど、『Strength of the Earth』は、“土は母なる大地”のイメージで、ドシンという部分と優しい部分を意識して曲を作りました」
一方、「仮面ライダーGIRLS」は、フレイムスタイルの「Last Engage」とウォータースタイルの「Mystic Liquid」を歌う。
メンバーの井坂仁美さんは「両曲とも疾走感がある、バキバキのロックサウンド。本編での戦闘シーンにもマッチしています」と曲をアピール。歌詞に関して、吉住絵里加さんは「私たちもすごく勇気づけられるフレーズが、たくさん入っています」といい、安田奈央さんは「『Last Engage』の一人一人のソロの部分は、ウィザードのストーリーに沿った内容なので、その部分だけ聞いても、世界観が伝わるんじゃないかなって。そこもポイントです」と笑顔で語る。
また、同ユニットでは、毎回、楽曲に合わせた衣装やダンスも見どころの一つ。遠藤三貴さんは「『Last Engage』はハチャメチャなロックなので、すごい踊りが激しいんです。『Mystic Liquid』は、水の曲なので、ダンスも水のしなやかさが出せるようなパフォーマンスをしています」といい、衣装は「今回もおなかは出していて。寒くて、これから冬のライブイベントがすごく心配なんですけど、元気いっぱい頑張ろうと思ってます」。さらに、名倉かおりさんは「今回で衣装は四つ目になるんですけど、初めてデザインが2パターンになったので、そこもチェックしてもらいたいです」とアピールする。
「RIDER CHIPS」は、「仮面ライダーの大ファン」という野村さんが中心となって、00年の「仮面ライダー」シリーズ生誕30周年を記念したオフィシャルバンドとして結成された。これまでも、「アギト」や「カブト」など、同シリーズのヒーローたちのストーリーに花を添える楽曲を多数提供している。
「仮面ライダーGIRLS」は、同シリーズの40周年に公式ガールズユニットとして結成。それぞれ担当の仮面ライダーを持ち、担当ライダーの衣装をモチーフにしたライダースーツを着た“特撮ヒーローアイドル”として活動している。今シーズンからは、最新作の放送に合わせて、「ウィザード」担当の秋田知里さんも新加入。秋田さんは「歌って踊るっていうことが初めてだったので、すごく不安な点もあったんですが、メンバーがやさしく教えてくれたので、何とかパフォーマンスできるようになりました」とフレッシュに語る。
秋田さんが初めて見た「仮面ライダー」シリーズは「カブト」。「小さいころ、野球を習っていたときがあって、行きたくなくて憂鬱だなって思った朝にテレビをつけて、カブトをよく見てました。実はお兄ちゃんが仮面ライダーがすごく好きで。お母さんも好きだったので、お兄ちゃんとお母さんが見ているところに参加して、一緒に楽しんでいましたね」
「カブトが初体験!?」とジェネレーションギャップに驚いていた野村さんが、一番好きなライダーは「新1号」。「サイドに2本線が入っていて、ポーズがムカツクぐらいカッコいいんです! バックシャンで、バイクにまたがった後ろ姿は、誰もかないません」と興奮気味に話し、仮面ライダーについての思い入れを語るには「2時間もらってもいいですか?」というほどのライダーマニアだ。
そもそも、「RIDER CHIPS」が結成されたのは、野村さんが「自分の名前入りで、仮面ライダーのピックを作りたかった」ことがきっかけ。制作の許可を取りに、東映にノーアポイントメントで訪問した野村さんが、担当者に長時間にわたって、熱く仮面ライダーへの思いを語ったところ、先方からは許可だけでなく「バンドやりませんか?」と思わぬ提案があったのだという。「ピックが作れることになったので、『オッケーですよ~』ってすごい気楽に答えて。後日『どうなりました?』とまた連絡が来たので、慌てて、ミュージシャン仲間にお触れを出しまして。“マニア”を集めました!」
それぞれに“思い入れ”がある2組が携わった最新のエンディング曲だが、お互いの楽曲について、井坂さんは「『RIDER CHIPS』さんの曲は、昔の仮面ライダーの良い部分も残しつつ、今っぽさも加わった楽曲。だから、昔からライダーが好きな人たちでも聴きやすいと思うし、今から見る方たちでもすんなりと聞いて『かっこいい』と思える曲だと思いました」と絶賛。野村さんは「明らかに『仮面ライダーGIRLS』のほうがハードロックです。『RIDER CHIPS』はちょっと年取ってるんで」と笑いを交えながら、「イケイケのロックと、落ち着いたロックですね」と2組の楽曲をアピールする。
最後に、「仮面ライダーウィザード」について話を聞くと、野村さんは「悔しいけど、ウィザードが出るまでは、新1号が一番スタイリッシュだと思っていたんですが、ウィザードはもっとスタイリッシュなんで、全部取られちゃいましたね」と語り、「キザ男(笑い)。ライダー史上、最高のキザ男ですよ。確実に」とコメント。ウィザード担当の秋田さんは「クールなんですけど、自分を犠牲にしてまで人の希望になるため戦うところがカッコいいです」と見どころを語った。
「仮面ライダーGIRLS」が歌う「Last Engage」「Mystic Liquid」、「RIDER CHIPS」が歌う「Blessed Wind」「Strength of the earth」はそれぞれDVD付きCDが1890円、CDのみが1260円。
<野村義男さんのプロフィル>
野村義男(のむら・よしお):64年10月26日生まれ。79年芸能界デビュー、1983年にロックバンド「The Good-Bye」を結成。その後、バンド活動のほか、ギタリストや音楽プロデューサーとして幅広く活躍する。00年に、ベーシストの寺沢功一とドラマ−のJOEと「RIDER CHIPS」を結成。自身はギターを担当。ボーカルは固定せず、曲ごとにチェンジするスタイルをとっていたが、05年からRickyを迎え、活動を行っている。
<「仮面ライダーGIRLS」のプロフィル>
吉住絵里加(よしずみ・えりか):92年2月5日生まれ、仮面ライダー電王担当。▽安田奈央(やすだ・なお)。90年4月26日生まれ。仮面ライダーブレイド担当。▽遠藤三貴(えんどう・みつき)。92年11月21日生まれ。仮面ライダーフォーゼ担当。▽秋田知里(あきた・ちさと):94年1月31日生まれ、仮面ライダーウィザード担当。▽名倉かおり(なぐら・かおり)。90年12月17日生まれ。仮面ライダーキバ担当。▽井坂仁美(いさか・ひとみ)。92年2月27日生まれ。仮面ライダーオーズ担当。