中村勘三郎さん死去:来年4月の「歌舞伎座こけら落としが心のよりどころ」だった

急性呼吸窮迫症候群のため5日死去した中村勘三郎さん=2004年11月27日、襲名披露興行の会見で小林努撮影(毎日新聞)
1 / 1
急性呼吸窮迫症候群のため5日死去した中村勘三郎さん=2004年11月27日、襲名披露興行の会見で小林努撮影(毎日新聞)

 歌舞伎俳優の中村勘三郎(本名・波野哲明=なみの・のりあき)さんが5日午前2時33分、急性呼吸窮迫(きゅうはく)症候群のため東京都文京区の病院で死去した。57歳。葬儀などの予定は未定。

あなたにオススメ

 事務所からのファクスによると、勘三郎さんは7月27日に食道がんの手術を受け、一時は病棟内を歩くまでに回復したという。その後、肺炎を発症し、呼吸不全が進行。2度転院し、「来年4月の歌舞伎座こけら落としに出演することを、心のよりどころとし、癌晴って」闘病を続けてきたが、回復することはかなわなかった。

 勘三郎さんは1955年5月30日生まれ、東京都出身。59年に勘九郎を襲名し初舞台を踏んだ。05年に十八代目の勘三郎を襲名。古典歌舞伎を新演出で上演する「コクーン歌舞伎」や仮設劇場を設営して世界各地を回る「平成中村座」などで歌舞伎を世に広める活動を進めた。08年に紫綬褒章を受章している。

 死去に際して勘三郎さんの妻、波野好江さんと歌舞伎俳優の長男・中村勘九郎さん、次男・中村七之助さんが3人連名でコメントを発表した。(毎日新聞デジタル)

 ◇コメント全文。(原文まま)

 皆様へ

 中村勘三郎は7月27日、患った食道癌の手術をして頂きました。

 12時間に及ぶ大手術となりましたが、手術は成功し、術後経過も順調で病棟内を歩くほどに回復しました。

 しかし、経過中に肺炎を発症し、その後、肺炎による呼吸不全が進行するという事態に陥りました。この肺炎による呼吸不全は思いの外、重症であり、呼吸不全に対する専門的な治療を行える病院へと、二度にわたり転院をし、考え得る最高の治療をして頂きました。

 本人も病気に立ち向かい、手術から約4か月に及ぶ闘病が続きました。

 その間、来年4月の歌舞伎座こけら落しに出演することを、心の依り所とし、癌晴って参りました。

 医療スタッフの方々も懸命な治療をなさって下さいました。

 けれども遂に、回復する事は叶わず、無念の内に、本日12月5日午前2時33分、急性呼吸窮迫症候群のため永眠いたしました。

 生前、中村勘三郎を長くご贔屓頂いたことを心より感謝いたします。

波野好江

中村勘九郎

中村七之助 

芸能 最新記事