ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
昨年7月の連載当初から話題を集め、11、12月に発売されたコミックスもわずか3カ月で累計160万部を突破している松井優征さんのマンガ「暗殺教室」(集英社)。タイトルはおどろおどろしく、内容は奇想天外だが、少年マンガの王道を貫き、現代の子どもたちにとって理想の教師像を描いて一躍支持を集めている話題作の魅力に迫った。(毎日新聞デジタル)
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「暗殺教室」はタイトルと同様にストーリーも奇抜だ。月を7割蒸発させた犯人で来年3月には地球を破壊しようとたくらむ謎の生物「殺せんせー(ころせんせー)」が、落ちこぼれが集まる椚ケ丘中学校3年E組の担任となり、生徒たちは国家からその暗殺を依頼される。暗殺の成功報酬は100億円。殺せんせーの目的や正体は分からないまま、物語は進行する。
一見、タイトルやストーリーは奇抜だが、読み進めると少年マンガの王道である少年少女の成長を描き、教育や勉強とは何か?という普遍的なテーマを取り扱っていることが分かる。編集を担当する村越周さんは「根底にあるのは少年マンガの王道。友情、努力、成長がある」と説明するように、生徒と先生は敵という関係ではあるが、先生はなぜか自分の暗殺をサポートし、社会から落ちこぼれというレッテルを張られた生徒は仲間と努力しながら自分の才能を知り、成長していく。つまり、マンガの王道であることと教育がテーマになっているのだ。
作者の松井さんは「少年マンガでは、先生ものはあっても教育ものはあまりない。狙い目かもしれないと思った」と語る。受験テクニックを扱った「ドラゴン桜」などはあるものの、学校を舞台に教え、育て、訓練するという教育を描いた作品は意外に少ない。また、殺せんせーは、紋切り型な熱血教師とは違い、暑苦しい、説教くさいことは口にせずに、生徒に歩み寄り、長所を伸ばすヒントをさりげなく与え、勉強の大切さを教える。村越さんは、殺せんせーについて「こんな先生がいたらいいな。こんな教室で勉強したいなと思ってもらいたい」と説明する。
一方で、村越さんは「堅苦しい教育論を見せようとは思っていない」とも話すように、武器を持った生徒が先生と戦うアクションや先生のギャグなど少年マンガらしい要素も盛り込まれている。同マンガのファンという女子中学生は「テンポと展開。ギャグも面白い。殺せんせーのキャラが可愛い」と大絶賛。マンガとしての面白さも十二分なうえ、「こんな先生がいたらいいな」とも語り、制作側の意図が十分に読者に伝わっている。殺せんせーは、現代の子どもの理想の教師像なのかもしれない。
マンガの中の過激な言葉にまゆをひそめる大人も少なくないはずだが、クレームは連載当初に数件あった程度という。村越さんは「目標は地球を救うこと。それに勉強をしっかりするマンガは珍しいですよね。根底にあるものを理解していただいているのかもしれません」と喜ぶ。
先生の真の目的や地球の命運はまったく読めないまま、連載は現在も続いている。松井さんは、2巻で同作は生徒と先生の1年間のみを描くことを宣言しているため、長期連載化はなさそうだが、教室には最強の暗殺者が登場するなど今後の展開に注目だ。
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