佐藤浩市さん、西村雅彦さん、吉瀬美智子さんが運命的な出会いをし、世界最後の桃源郷といわれるパキスタンのフンザへ、希望を求め旅立つ姿を描いた映画「草原の椅子」が全国で公開中だ。原作は、芥川賞作家・宮本輝さんの小説。「八日目の蝉」(11年)などで知られる成島出監督がメガホンをとった。フンザに到着した場面から映画は始まり、なぜそうなったのかがゆっくりと語られていく。
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カメラメーカー勤務のバツイチで50歳の遠間憲太郎(佐藤さん)は、窮地を救ったことから取引先のカメラ店の社長・富樫重蔵(西村さん)と“親友”として付き合うようになる。また雨の中、偶然見かけた、陶器店を営む篠原貴志子(吉瀬さん)とも親しくなる。そんなある日、遠間の前に、親に見放された4歳の少年、喜多川圭輔(貞光奏風くん)が現れ……という展開。
佐藤さんが、ぎこちなく圭輔をあやしたり、「カレーの王子様」を作る様子などからは、不器用ながらも温かさが伝わってきて、ほのぼのとした気持ちにさせられる。関西弁をゆるやかに操り、いつも笑顔を浮かべている西村さんからは、人柄のよさがにじみ出る。吉瀬さんも、和服姿ではんなりとした色気を漂わせる一方、現代的で清潔感がある女性を演じ、それぞれがそれぞれに役を好演。人生の第2幕に足を踏み入れた大人たちが、喜びや悩みを分かち合いながら前に進もうとする姿に勇気付けられる。2月23日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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