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朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第108回 小林多喜二「蟹工船」

ブック コラム
「蟹工船・党生活者」著・小林多喜二(新潮文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに100万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第108回は小林多喜二の「蟹工船」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 いよいよ3月に入りました。冬が終わりを告げ、春の始まりです。少しずつ暖かくなってきましたが、季節の変わり目は体調を崩しやすいので、皆さんも気をつけてくださいね。

 さて早速始まるお誕生日コーナー、今回は3カ国から3人の作家さんをご紹介させていただきます。

 まず2月26日は、ビクトル・ユーゴーさん(1802年生まれ・フランス)。邦題「ああ無情」でも有名な不朽の名作「レ・ミゼラブル」、美しい踊り子を巡って3人の男性が愛憎劇を繰り広げる「ノートルダム・ド・パリ」など、フランスを代表する文豪の1人です。

 次に2月27日は、ジョン・スタインベックさん(1902年生まれ・米国)。ピューリツァー賞を受賞し、ノーベル文学賞受賞にも貢献した「怒りの葡萄(ぶどう)」のほか、旧約聖書をモチーフにした大作「エデンの東」は映画でも名作として有名ですよね。

 最後に3月1日は、芥川龍之介さん(1892年生まれ)。初期の「羅生門」、中期の「地獄変」、後期の「河童」と、それぞれに作風の異なる代表作をはじめ、「蜘蛛の糸」など児童文学作品でも傑作を残しました。

 では続いて、朗読倶楽部のお話……朗読倶楽部顧問・癸生川新先生のこと・第6回です。

 「朗読館」の依頼のため、録音場所を探していた私たちに先生が案内してくださった場所は、なんと録音スタジオ。

 ドアを開けて出てきたのは先生と同い年くらいの女性で、このスタジオのオーナー兼ディレクターをされている方でした。先生とは学生時代からのお友達だそうで、空いている時間を使って、スタジオを貸していただけるとのこと。

 こんな本格的な場所で録音させてもらえることになるなんて全く予想外のことで、私はもちろんのこと、普段落ち着いているみかえさんでも緊張した様子……なんとなく間が持たなく感じてしまって、いつもより口数が増えているのがわかります。

 逆に部長さんはドアの前で先生にくぎを刺されたせいか、あれこれ聞きたいのを必死に我慢している様子で、それでも喜びを隠し切れないのか、そばから見ていて「うずうずしている」という形容がぴったりの様子でした。

 スタジオに入って最初に案内していただいたのは待合室です。そこは一見マンションのリビングのようでしたが、奥に見える扉には玄関ドアよりも頑丈そうな取っ手が付いており、それだけで非日常的な場所にお邪魔しているんだな……と、実感できました。

 そして、扉の中にはさらに私たちにとっての「非日常体験」が待っていたのです……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

 ◇しおりの本の小道 小林多喜二「蟹工船」

 こんにちは、今回ご紹介するお話は小林多喜二さんの「蟹工船」です。

 2013年2月20日に没後80年を迎えた、日本のプロレタリア文学を代表する作家・小林多喜二さん。プロレタリア文学の金字塔と言われ、代表作となったこのお話は、1929年に発表されました。

 「蟹工船」とは、遠洋漁業先で漁獲したカニをその場で缶詰に加工する、言わば缶詰工場の設備を持った船のことです。

 カニは温度変化による品質への影響が大きく、このお話の背景となる1920年代では現代のような保存技術・輸送技術が発達していなかったため、現地で缶詰にしてしまうのが効率の良い方法とされていました。

 このお話はその蟹工船に乗り込んだ人々の苦境を、特定の主人公を持たない「群像劇」という形で描き出していきます。

 北海道のはるか北東、オホーツク海カムチャツカ。厳しい寒さに変わりやすい天候、そして荒れやすい海というこの過酷な海域では海産資源が豊富な一方、敵対するソビエト連邦(ロシア)との漁業権争いにより、拿捕(だほ)される危険もはらんでいました。

 そんな二重の意味で危険な海域で操業する「蟹工船」の乗組員は貧しい出稼ぎ労働者が中心で、「工場であって、漁船ではない」という建前のもと、いつ沈んでもおかしくないほどにボロボロの船を使って、過酷な荒海へ乗り出していました。

 しかもこの「工場」は、領海の外で活動しているために日本の労働基準法(当時は工場法)が適用されず、雇用側にとって一方的に都合の良い、労働者を搾取し放題の環境となっていたのです。

 少しでも手を休めると遠慮なしに暴力を振るわれ、栄養不足から脚気(かっけ)を起こし、船医を頼っても薬はなく、高熱を出して寝込めば容赦なくたたき起こされ、仕事に戻される……海の上では逃げ出すこともかなわず、奴隷もかくやという環境に耐えかねた労働者たちは、ついにストライキを決意するのですが……。

 「おい地獄さ行ぐんだで!」

 蟹工船への乗船をこう呼んだ書き出しの部分が決して大げさでないことは、本編を読んでみればわかります。「蟹工船ブーム」もまだ記憶に新しい本作品、未読の方はこの機会に手に取ってみてはいかがでしょうか?

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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