ベルナルド・ベルトルッチ監督10年ぶりの最新作で、復活作となった「孤独な天使たち」が20日から公開されている。30年ぶりに母国語のイタリア語で撮ったという。原作は「ぼくは怖くない」のニッコロ・マニーティさん。主人公は14歳の少年で、口うるさい母親や学校から逃れて地下室にこもる1週間の出来事を描いた。異母姉との孤独な魂の触れ合いに心が揺さぶられる。
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ロレンツォ(ヤコポ・オルモ・アンティノーリさん)は14歳。学校にもなじめず、母親とも距離をとっている。ロレンツォは母親に学校のスキー合宿に参加するとうそをつき、あらゆるしがらみから逃れて、アパートの地下室に引きこもって1週間を過ごす。食糧を調達し、好きな本と音楽を満喫した1日目。しかし、計画は2日目にして崩れた。異母姉のオリビア(テア・ファルコさん)が地下室に突然やって来たのだ。私物を取りに来たという姉は、昔と違って荒れ果てていた……という展開。
母親にうそをつき準備も万端で「フゥ~」とばかりに始まったロレンツォ少年の引きこもり生活が、異母姉の登場によって乱された瞬間、こちらの心もかき乱された。姉オリビアは黒ずくめの悪魔的な容貌で、にきびも初々しいロレンツォに怒鳴り散らすのだ。この登場の間合いが絶妙で、「何しに来たのだろう」というロレンツォの思いに観客はすっかり共感してしまう。しかもオリビアは麻薬中毒らしい。困惑から同情、そして姉への思慕へ……。演じる2人は無名な俳優だが、力強い演技には目を見張るものがある。「ここではないどこか」を求めている点では同じ境遇にいる姉と弟。胎内のような地下室で孤独な魂が触れ合うとき、デビッド・ボウイさんの曲「ロンリー・ボーイ、ロンリー・ガール」が流れ、それが見事にマッチングしてそのシーンが頭から離れなくなった。原作者が脚本に名を連ねているが、原作本も読んでみたくなる仕上がりだ。20日からシネスイッチ銀座(東京都中央区)ほか全国で順次公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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