知花くらら:モデルは「刺激を受ける場所」 社会貢献活動は「私の軸になっている」

初のファッション本「Forever Basic」について語った知花くららさん
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初のファッション本「Forever Basic」について語った知花くららさん

 06年にミス・ユニバース世界大会で2位に輝いた後、モデルやタレントとして活躍中の知花くららさんが、女性ファッション誌「Domani」(小学館)に掲載してきた私服のコーディネートショットと好きな映画や本などについて語ったコラムをまとめた初のファッション本「Forever Basic」を発売した。同書は「白シャツ」「デニム」「トレンチコート」など、知花さんが考える八つのベーシックなアイテムを取り入れたさまざまなコーディネートを提案している。知花さんにファッションへの思いやWFP(世界食糧計画)を通じた社会貢献活動などについて聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 知花さんは31歳の誕生日である3月27日に「Forever Basic」を発売した。30歳を超えて、「やりたいことを言い続けていると実現するチャンスをいただけるようになった」という知花さんにとって、この本も「やりたいこと」の一つだった。「私は、このお仕事を始める前、ファッションがそんなに得意じゃなくて。これまで自分の着る服は失敗を何回も重ねつつ、自分の心地よいものが分かるようになってきたかなという感覚があって。その感覚が出始めてから、専属モデルとして『Domani』もやらせていただいていますし、ファッション本を出す機会があればいいなと思っていました」と出版のきっかけを語る。

 今回、本として一つの形になったことに、「最初の感想は恐縮です。『私服で撮影してすいません』という感じなんですけど(笑い)。私なんかでいいかしらっていう感覚もありつつも、『Domani』で本当に一からファッションのこともモデルのお仕事も勉強させていただいて、そういう環境で出版できた本なので、周りのスタッフの方々にすごく感謝の気持ちでいっぱいです」と恐縮しつつ、「撮影が本当に楽しかったんですね。自分がこうしたい、こういうふうにしたらどうだろうと提案ができるようになってからは本当に楽しくて、クリエーティブな撮影現場もわくわくしますね。そんな写真ばかり詰まった本なので、私にとってはとっても大事な1冊になりました」と思い入れたっぷりに語る。

 服選びでは「好きなもの、これだと思う出合いを逃さない。最近はそういうふうに変わってきました。最初はやっぱり失敗もいっぱいしました。もしかしてあると便利かなというものは危険で、結局、意外と使わないんですよ(笑い)。少なくとも私はそうですね。あると便利だな、なんにでも合うんじゃないかなって思うものって、結局たんすの奥の方に後退していっちゃう。結局買ったけれど着なかったものが、昔はいっぱいありました」と失敗談も交えて語る。

 今回、定番といわれるアイテムを選んだことについては「ベーシックって、やはりみんな好きなものですし、その人なりのベーシックを皆さんお持ちだと思うんですけど、これぞベーシックだという公式もないと思いますし、そんな中で私が思うベーシックというものを載せさせていただいたんです」と八つのアイテムを選び出した。

 選んだ八つのアイテム「白シャツ」「デニム」「タイトスカート」「トレンチコート」「黒タートル」「ジャケット」「リトルブラックドレス」「ふんわりスカート」は、「きっと皆さんお持ちであろうというアイテムだと思っていて。忙しい朝、あんな感じでいこうかなという、その“あんな感じ”としてちょっと頭の片隅でイメージしていただけたら、これ以上幸せなことはないです」と語る。また「撮影をすごく楽しんでやらせていただけたので、ファッションって楽しいなって改めて感じていただくきっかけになればいいなあと思います」とメッセージを送った。

 知花さんはモデルとしての活躍する一方で、WFPのオフィシャルサポーターという顔も持つ。古い洋画が好きだという知花さんは「ローマの休日」の主演女優、オードリー・ヘプバーンさんが後年、ユニセフ親善大使として活動していた姿に影響を受けた部分もあるという。「影響を受けたというのもおこがましいんですけど、いろんな葛藤があった中でやっぱり彼女が晩年に現地で活動している様子を写したポートレートがすごく印象的に残っていて、こういう(世界的に有名な)人が活動をしていたという事実に助けられたことは正直なところです」と明かす。

 知花さんの社会貢献活動は当初、批判の声もあったという。「モデルなど表の仕事と同時に活動を始めたこともあって、誌面で高価なものを身につけて撮影しますから、そんなものを身につけているくらいだったら途上国の子供に寄付をしたらどうかとか、そうやってテレビに出ている時間があったら現地に飛び込んで活動すればどうかとか言われたこともありました。ごもっともな部分もあると思うんですけど、私ができることはまた別のところにあって、私がこの立場にいるからこそできる日々の活動があると自分で納得できた瞬間に葛藤が消えました」と転機について語る。

 そして、「オードリーの生き方を見て、表の人がそういう活動をしている、その与える影響力を考えると、それはすてきで未来に広がっていると思うんです。彼女を写したお気に入りの写真が何枚かあるんですけど、つらいときに写真を思い出している自分がいました。本当に写真には助けられましたね。最近は葛藤はあまり感じないですし、初期のころのああいう(批判の)声をちょうだいしなくなったのは、続けてきたからこそというのもあるのかなと思っています。WFPの活動は7年目になりますけど、大きなことはできないし、だからこそ少しずつ自分のできることを続けていくということが大事だと思いますね」と前向きに語った。

 モデルの仕事は「現場は自分をインスパイアしてくれる場所。いろんなものを生み出すエネルギーに触れるクリエーティブな作業は面白くて、つねに刺激されています。表現の仕事という意味でももっともっと自分を磨いていきたいなと思いますね」といい、社会貢献活動の方は「7年目に入って、続けることはすごく力になっています。私にとってなくてはならない、(自分の)軸になっている活動なので、これから先も続けていけたらいいなと思います」と今後も両輪で続けていくつもりだという。

 次回は、知花さんの休日の過ごし方や生き方について聞く。

 <プロフィル>

 1982年3月27日生まれ、沖縄県出身。身長173センチ、ファッションモデル、タレント。06年4月に「ミス・ユニバース・ジャパン」に選出され、同年7月、第55回世界大会で総合2位に選ばれる。07年にはWFP(国連世界食糧計画)オフィシャルサポーターに就任。また、08年から女性ファッション誌「Domani」(小学館)の専属表紙モデルとして活躍。そのほかレギュラー番組やCMに多数出演中。 WFPのオフィシャルサポーターとしてアフリカなどで現地視察を行うなど、国内に積極的に現地の声を伝える活動を行っている。報道リポーターとして培ってきた社会性や知性、自然体な内面、ファッション性、語学力を生かし国内外で活躍中。

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