名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、綿密な描写で近世の士官学校の日常を物語にした中島三千恒さんの「軍靴のバルツァー」です。「月刊コミック@バンチ」(新潮社)の里西哲哉編集長に作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
舞台は19世紀帝国主義時代を模したヨーロッパ大陸。軍事大国ヴァイセンから同盟の軍事後進国バーゼルラントの士官学校へ教官として赴任した主人公バルツァー少佐と生徒たちの交流ドラマ、そして当時の兵器や戦術戦略、政治闘争のリアル描写が魅力の柱です。マニアックな部分とキャラ立ての両立を目指した作りなので、誰が読んでも楽しめる作品になっています。
−−作品が生まれたきっかけは?
@バンチ創刊にあたり、「歴史物」がほしいという思いで中島先生にアポを取りました。三国志を題材にした作品で注目していたので、そちらを期待していたのですが、「ドイツが好き」というお話をいただいたので、「じゃあそれで!!」ということで連載決定になりました。@バンチでは、作家さんの「偏愛」要素を尊重するのですが、予告カットでの緻密(ちみつ)な軍服姿のバルツァーや都市描写を拝見して、「これはいける!!」と確信しました。好きだからこそ描ける“厚み”を感じました。
−−作品を担当してうれしいことは?
中島先生は戦場や戦闘を描く際のディテールにとてもこだわられます。距離や人数などの要素はもちろん、展開する軍隊の動きに合理性がないと、どんなにうまくいった打ち合わせの内容でも土壇場でひっくり返されることもよくあります。締め切り間際で担当としては気が気でないですが、それでも最終的にはクオリティーの高いネームが出て来ると本当にうれしいです。中島先生と設定協力の白土晴一さんが、即興で描いた地図をもとに打ち合わせをされている姿は、ちょっとした戦術議論のようでなかなかの見物です。
−−今後の展開は?
バルツァーの祖国ヴァイセンと士官学校のあるバーゼルラント、そしてその間に割って入ろうとするエルツライヒ帝国の間でキナ臭い展開が起こるのは間違いないと思います。それ以外ははっきりわかりません。ただ、調整力抜群で有能なバルツァー少佐がいろんな陣営から注目され、勧誘されていく展開はサラリーマンの私にはうらやましくて熱いです。今までちょっとばかり軽薄だった主人公が、生徒たちの行く末を気にし始めているので、バルツァーの本音と建前、立場的な葛藤が重なってくると、さらにドラマが厚くなる予感がして、私自身とても楽しみです。
−−読者へ一言お願いします。
大人も納得するクオリティーの歴史系マンガを作るのはとても大変です。身近な題材や展開の速さで勝負する作品が主流の中、ギリギリまでディテールにこだわる中島先生には本当に脱帽します。だからといって独りよがりにならず、歴史やミリタリー系の趣味が無い方でも、読めば絶対にキャラやドラマに引き込まれて行く作品バランスの良さも秀逸なので、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。
月刊コミック@バンチ 里西哲哉
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2024年12月22日 23:00時点
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