注目映画紹介:「三姉妹~雲南の子」 雲南地方の小さな村に住む3姉妹の原始的な生活を追う

「三姉妹~雲南の子」の一場面 (C)ALBUM Productions,Chinese Shadows
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「三姉妹~雲南の子」の一場面 (C)ALBUM Productions,Chinese Shadows

 9時間を超える3部作のドキュメンタリー「鉄西区」で知られるワン・ビン監督の最新作「三姉妹~雲南の子」は、中国・雲南地方の標高3200メートルの土地に住む3姉妹にカメラを向けた。低地への全村移住が決まっているという村の原始的な生活を記録に残している。なお、撮影に中国政府の許可は得ていないという。

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 中国・雲南地方の小さな村。幼い姉妹が3人だけで暮らしている。10歳のインインが、チェンチェン(6歳)、フェンフェン(4歳)の面倒を見ている。母は出て行き、父親は出稼ぎ中だ。ときどき近所のおばさんの家でごはんを食べるときもある。インインは祖父の言いつけを守り、家畜の世話や畑仕事もこなす。ある日、父親が出稼ぎから帰って来て、久しぶりに親子がそろった。祖父は娘たちのために嫁をもらうよう提案する。やがて父親は、経済的な理由でインインだけを村に残して、妹2人と一緒に再び町へと向かう……。

 薄暗い土壁の家の中で、火を焚(た)きつけながら笑い合う3姉妹。このショットだけで雄弁に彼女たちの生活を物語っている。3姉妹が寄り添って楽しく暮らしている様子がわかるすてきなシーンだ。そのあと、家に一人残されたインインがじゃがいもを食べるシーンと呼応している。カメラは近くも遠くもない絶妙な距離から彼女を静かに見つめ、説明がない分、思い思いに感慨にふけりながら見ることができる。生活音が響くだけの簡素な生活。人々の絆はむろん固い。いつも同じ洋服を着て泥だらけの3人は体にはシラミがわいている。だが、子どもたちの笑顔に屈託がない。昔の日本にもあった光景だろう。貧しい共同体では子どもが労働力であるという実態に複雑な思いを寄せつつも、風がビュービューと吹く荒々しい土地で、たくましく快活に子どもたちが育っている姿に圧倒される。153分間、まったく長くない。25日からシアター・イメージフォーラム(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに単館映画館通いの20代を思い出し、趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心に活動するライター業のほか、ときどき保育士としてとぼとぼ歩き中。

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