はじめの1巻:「MAMA」 少年合唱団の寄宿学校が舞台 2人の少年の成長と確執を描く

売野機子さんのマンガ「MAMA」(新潮社)1巻の表紙
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売野機子さんのマンガ「MAMA」(新潮社)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、マンガ誌「月刊コミック@バンチ」(新潮社)で連載、少年合唱団(クワイア)の寄宿学校(ギムナジウム)に入学した2人の少年の成長と確執を描く売野機子さんのマンガ「MAMA」です。

ウナギノボリ

 世界で飛び抜けて歌声の美しい少年が集まる合唱団の寄宿学校に向かうガブリエル。そこへ、同じ日に入団するラザロが駆け寄る。ともに寮に向かった2人は寮生らに歓迎され、同じ部屋で寝起きすることなる。最初の晩、寮生からクワイアに来た理由をたずねられるとラザロは「誰よりも選ばれたと信じてる」と答え、ガブリエルは「家が貧しくてお金のために」と答えた。そして2人は合唱団で上位のAクラスでレッスンを始める。

 ◇編集部からのメッセージ 月刊コミック@バンチ編集部 榎谷純一さん 「真骨頂は圧倒的な物語力」

 売野機子先生のマンガといえば、伝統的な少女マンガの系譜を継ぐ美麗な絵柄に注目がいきがちですが、「MAMA」の第1話のネームを読んだときには本当にびっくりしました。売野先生の真骨頂は“物語力”です! それも圧倒的な。

 なにげない会話にも深みがあり、さりげない行動やせりふが、物語が進むにつれ重要な意味を持ち出して、ラストのカタルシスにつながっていく構成力はすさまじいの一言です。

 面白いマンガを探しているマンガ好きの読者の方は、ぜひ「MAMA」を読んでみてください。上質な海外小説を1冊読んだかのような気分にひたれます。とにかく驚きますよ。

 ◇書店員の推薦文 恵文社バンビオ店 宮川元良さん 「設定でピンときたら即買いをオススメ」

 ギムナジウムという場所に集まった美少年たち、その最たる歌声を持つ存在には名誉と死が与えられる……。歴史に名を刻む名作のにおいをどこかに感じつつ、そのファンタジーでミステリーな設定に「いいね!」ボタンを押しまくりです。もちろん設定だけではありません。嫉妬、確執、葛藤、報われぬ恋などの感情が渦巻き、見え隠れする謎をはらみながら進むストーリーはどこか美しく儚(はかな)いのです。少年たちの未来は果たして……! 設定だけでピンときたら即買いをオススメします!

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