注目映画紹介:「インポッシブル」 スマトラ島沖地震奇跡の生還 人間愛や子供のけなげさが胸に迫る

(C)2012 Telecinco Cinema,S.A.U. and Apaches Entertainment,S.L.
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(C)2012 Telecinco Cinema,S.A.U. and Apaches Entertainment,S.L.

 今年の米アカデミー賞でナオミ・ワッツさんが主演女優賞にノミネートされた「インポッシブル」(J・A・バヨナ監督)が14日から全国で公開された。2004年のスマトラ島沖地震を体験し、そこから奇跡の生還を果たした家族5人の実話に基づく物語だ。

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 04年のクリスマスイブ。ヘンリー(ユアン・マクレガーさん)とマリア(ワッツさん)のベネット夫妻と3人の息子たちは、冬季休暇を過ごすためにタイのプーケットを訪れていた。ところがその日、5人がホテルの屋外プールで過ごしていると、巨大津波が押し寄せてくる。ヘンリーはとっさに次男と三男を抱え上げ、マリアはプールサイドに立ちつくす長男の姿を視界に捕らえるが、その直後、大波にのみ込まれてしまう……。

 映画が始まり、ほどなくして巨大津波が押し寄せてくる。その光景のすさまじさ。デジタル処理は使わず、本物の水を使って撮影したという。マリアが濁流にのみ込まれる光景は恐ろしく、鳥肌が立った。見ているだけでそうなのだから、実際にスマトラ島沖地震を経験した人、あるいは同様の体験をした人が感じる恐怖は察するに余りある。自分が同じ状況になったら……と考えずにいられない。

 ワッツさん、マクレガーさんの熱演もさることながら、3人の子供役、トム・ホランドさん、サミュエル・ジョスリン君、オークリー・ペンダーガスト君がとてもよい表情を見せている。バヨナ監督は、前作「永遠のこどもたち」(07年)でも子供を魅力的に撮っていた。その手腕は今作でも発揮されている。つらい映画だが、人間愛や人間の強さ、あきらめない心、さらに子供のけなげさ、たくましさが胸に迫ってくる。TOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌の編集、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。新歌舞伎座のこけら落とし公演を見に行った。観劇後、5階の屋上庭園を訪れたが、エレベーターの列に15分ほど並んだ割に「これだけ?」という狭さにちょっとがっかり。

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