本国韓国で映画観客動員記録を「グエムル 漢江の怪物」(06年)以来塗り替え、アジア全域でヒットした「10人の泥棒たち」(チェ・ドンフン監督)が22日、公開された。「ビッグ・スウィンドル」(04年)のチェ監督の最新作は香港、マカオ、ソウル、釜山のアジア各都市を股にかけて泥棒たちが大活躍する、だましだまされのストーリー展開が面白い。体を張ったアクションも見ものだ。
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美術館を訪れた母と娘。2人の素性は大泥棒。美術館所蔵の秘宝強奪を華麗にやり遂げた2人のボス・ポパイ(イ・ジョンジェさん)は、かつてパートナーだったマカオ・パク(キム・ユンソクさん)から新しい計画を聞かされる。それは、マカオの巨大カジノで“太陽の涙”と呼ばれる世界に一つしかない大粒のダイヤモンドを手に入れること。美貌(びぼう)の金庫破り・ペプシ(キム・ヘスさん)らが集められ、5人の韓国チームは、香港で4人の中国チームと落ちあう。ダイヤモンドは現在、香港のダイヤ商人の手元にあるという。そして、ダイヤ商人がカジノで遊んでいるすきに、VIPルームの金庫を破る計画が着々と進められていた……という展開。
集められた大泥棒たちが、大仕事に乗り出すまでがテンポよく、キャラクターがよく見える。このチーム、過去にいろいろあった者同士もいて、誰が誰を出しぬくのか見ていてハラハラする。アジアの都市の中で暗躍する泥棒たちのそれぞれの欲の理由はさまざまで、それがダイヤの行方とともに次第に解き明かされていく。コンピューターグラフィックス(CG)を使わないアクションは往年の香港映画のようで、せりふのリズムがフランスの犯罪映画を思わせる。チェ監督の製作陣は、作品を出すごとにパワーアップしていることを実感させられる。
ところで、この手の物語の鍵をにぎっているのは女性。スタイルがよく、カッコいいチョン・ジヒョンさん、憂いをたたえたキム・ヘスさん、演技派の泥棒を演じるキム・ヘスクさんが物語を華麗に盛り上げている。日本語吹き替え版ではチョン・ジヒョンさんの声の平野綾さんのほか、山寺宏一さん、小山力也さんら人気声優がこぞって出演しているのも話題だ。22日からTOHOシネマズ渋谷(東京都渋谷区)ほか2週間限定で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街にいる猫をなでること。
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