黒木華:初主演映画は「あえて役作りせずに臨んだ」 映画「シャニダールの花」

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 女優の黒木華さんが、俳優の綾野剛さんとダブル主演した映画「シャニダールの花」(石井岳龍監督)が20日から全国で公開されている。黒木さんにとって初主演映画でもある同作品は、ごく少数の限られた女性の胸にだけ咲く世にも美しい花「シャニダールの花」を巡る物語。多くの名高い演出家から高い評価を受け、若手実力派女優ナンバーワンとの呼び声の高い黒木さんに、初タッグを組んだ石井監督の現場の印象や「お芝居に対して熱い思いを持っていて、ふだんは変な人(笑い)」と評する共演の綾野さんについて話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 黒木さんが演じたのは、提供者の胸に芽ぶいた花を育て一番美しい形で採取することを使命とする「シャニダール研究所」に勤務するセラピストの響子。その役柄について「すべてを受け入れられる女性。そして凜(りん)としていて芯もあって、本当にすごい女性だなって思う」と語る。役作りは「心理についての勉強はしたんですが、監督から『役を作ってこないでください』と最初にお話がありまして。作ってしまうとリアルではなくなるので、その現場で生まれるものを大切にしたいというお考えだったんです」とあえて固めずに臨んだという。

 「役を作るというよりは、綾野さんたちと一緒に芝居をすることで、自然と響子さんになっていく感じでした。だから役には多少、私自身も混ざりあっていると思います。現場では、出演者が本当にその役として生活なり会話をしている感じで、私はずっと響子さんでいることができた。それはすごく新鮮で、不思議な空間でした」と石井監督が作る独特な雰囲気の撮影現場を振り返った。

 響子と引かれ合い、やがて恋人関係になる植物学者・大瀧を演じた初共演の綾野さんについて、「監督が『動物的な部分と理性的な部分を両方持っている役者』だとおっしゃっていたんですが、それはすごく(私も)思いましたね。大瀧についてものすごく考えていらっしゃるのに、響子がかける言葉に対する反応は全く何の紗がかかっていない。そのままで返してくださるというか。反射神経がいいんですよね」と語る。

 また、綾野さんの普段の印象を「変な人だなって(笑い)。見えている景色が変というか、独特。会話をしていても楽しかったですね」といい、「それから、すごく熱い方で、お芝居に対しても熱い思いを持ってるんですよね。当時掛け持ちしていた作品のことや好きなものなど話してくださったんですが、何気ないことでも綾野さんの目線で見てみると、たぶん違うんだろうなって思うんです。だから綾野さんが演じる役は、どの作品も全く違って見える」と綾野さんならではの魅力を感じたようだ。

 映画の見どころについては、「話はファンタジーなんですけど、すごくリアリティーのある……ファンタジーとリアルのぎりぎりのラインに立っている作品。なんかちょっとピリピリとした空気がずっと流れているような作品です。そういう映画もなかなかないので、そこは魅力だと思います。それから、音楽もカッコいいですし、衣装もスタイリッシュですてきなんです」と黒木さん。作品に登場するシャニダールの花は、黒木さんが「すごく神秘的で好き」だと語る月下美人がモチーフになっているという。

 次回は、黒木さんの休日の過ごし方などプライベートについて聞く。

 <プロフィル>

 くろき・はる。1990年、大阪府出身。2010年のNODA・MAP番外公演「表にでろいっ!」で、中村勘三郎さん、野田秀樹さんとの3人芝居に娘役として出演。その後、「東京オアシス」(11年)で映画デビューし、劇場版アニメ「おおかみこどもの雨と雪」(12年)では声優に初挑戦。そのほかの主な出演作に、NHK連続テレビ小説「純と愛」(12年)、映画「草原の椅子」(13年)、「舟を編む」(13年)がある。待機作として、山田洋次監督の「小さいおうち」が14年に公開される。

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