名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、テレビアニメ化もされている原悠衣さんの「きんいろモザイク」です。芳文社「まんがタイムきらら」編集部の石村賢さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
黒髪&たれ目の純和風女子高生・忍と、金髪碧眼(へきがん)の英国少女・アリスの交流を描く4コマ作品「きんいろモザイク」。その最大の魅力はヒロインたちの“友情”です! 「友情? 美少女マンガなのに??」とおっしゃる方もいらっしゃるかと思いますが、一度読んだらきっとそう感じていただけると思います。ちょっと大げさな文句になってしまいますが、人と人が出会って、お互いのことを好きになり、大切に思う。それってホントに幸せなことなんだなと感じさせてくれる作品です。
中学1年生のころ、忍はイギリスにあるアリス宅にホームステイをします。1週間の短い滞在で、お互いに言葉も通じないままでした。けれどアリスは忍の帰国後、彼女とまた会うためにゼロから日本語を勉強し、およそ2年半で日本語をマスター、高校1年生の春、ついに来日します。そして忍は、再会したアリスに「大人になったら、もう一度イギリスに行きたいと思ってたんです。アリスが会いに来てくれたので、夢がかなっちゃいました!」とほほえみます。この作品で一番輝いているのは忍とアリスの“友情”なのです!
もちろん、ふたりだけじゃなくて、アリスとカレンの幼なじみ同士の絆や、綾&陽子のデコボコだけど息の合ったコンビぶり(綾は友情というよりもう一歩進んだ感情を抱いているような気もしますが……)にも注目ですよ♪
−−作品が生まれたきっかけは?
実は最初から明確な案があったわけではなく、さまざまな作品案を練り込んでいくうちに、「きんいろモザイク」ができていったという感じです。最初にいだだいた案が、「花嫁修業をする部活」「天使の子供を育てる女子高生」「留学生が集まって部活を作る」……の三つなのですが、今になって振り返ると、このすべてに金髪少女を登場させる下地がありますね(実際に「花嫁修業」モノではフランス人金髪少女のヒロインがいました)。
その後、一度はファンタジー世界の留学生たちの日常モノという方向で作品制作が進みかけたのですが、なかなかうまくまとまりません。そんなとき、原先生から「……なぜファンタジーを描きたいんだろう、と考えていたら金髪少女が描きたいだけのような気がしてきました」との一言をいただいたことで制作コンセプトが明確に固まり、その後数度のブラッシュアップをへて、今の「きんいろモザイク」に至ります。
初期の人物ラフ等が気になる人は「きんいろモザイク画集 ひみつのきんいろモザイク」(8月27日発売予定、2500円)をぜひぜひご購入くださいね。原先生の描く超美麗なフルカラーイラストが新旧問わず収録されているほか、貴重な初期設定資料も掲載しておりますので(ダイレクトマーケティング)!!
−−編集者として作品を担当して、今だから笑えるけれど当時は大変だった……、もしくはクスッとしたナイショのエピソードを教えてください。
ナイショのエピソードですか……。いろいろありますが、一番大きいのは「忍が実は男の子だった」ことでしょうか。最初期案の一つでは、忍は外国にあこがれていて、通訳を目指す少年でした。ただ、ホームステイ先のアリスには女の子と間違われていたどころか、「忍のような、おしとやかな大和なでしこになりたい」とあこがれを持たれていたという……。ちなみに、日本での舞台は京都で、忍は外国風の衣装を、アリスは和服をそれぞれ着ているという設定でした。今の「きんモザ」とは大きく異なりますが、この頃から忍とアリスがお互いにあこがれの存在で、大切な人なのは変わりません。外見や設定は変わっても、ふたりの友情は引き継がれたんですね。
−−今後の展開は?
コミックス第4巻の終盤では、アリスとカレンが来日以降初めてイギリスに帰ります。どんな展開になるか気になりますね、これはもうMAXとかコミックスとか買わざるを得ないんじゃないですかね(再びのダイレクトマーケティング)!! ただ、それ以降どうなるかは恐らく原先生にも分からなくて、忍やアリスたちが何を考えて、日々をどう過ごすかにかかっているんだと思います。皆は「キャラ」というより「女の子」という感じなので……あの年ごろの女の子が何を考えているのかは分かりませんから、先の展開も読めません(笑い)。とか言っておいて将来の構想があったらすみません原先生……!!
あと、「きんいろモザイク」はいわゆる“サザエさん時空”のマンガではなく、時の流れとそれに伴う環境や人間関係の変化が描かれる作品ですので、ずーーっと永遠に今の日々が続くということはないかもしれませんね。ですが、どうなるにせよ、5人とも幸せな人生を歩んでいくと思いますし、いつか作品が完結した後も一生友達でいると思います。きっとみんな10年たっても20年たっても親友ですよ。それだけは確実な「今後の展開」だと思います。
−−読者へ一言お願いします。
「きんいろモザイク」をたくさんの方に読んでいただけて本当にうれしいです。作品と原悠衣先生を応援してくださる読者の皆様、いつもありがとうございます!! 未読の方は、ぜひ一度試し読みしてみてください。きっと幸せな時間を過ごせます。また、この場を借りてテレビアニメスタッフの皆様にもお礼を言わせてください。原作を大切に扱ってくださっていること、毎話クオリティーの高いアニメーションにするため尽力していただいていることも、もちろんうれしいのですが、担当編集としては「きんいろモザイク」を多くの方に読んでもらえるきっかけをくれたことが何よりうれしいです。本当に、アリガトウゴジャイマス!!
芳文社 まんがタイムきらら編集部 石村賢
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