画家ピエール・オーギュスト・ルノワールと次男で映画監督のジャン・ルノワール……偉大なる芸術家親子とそのミューズとなった女性アンドレとの知られざる物語が、ルノワールのひ孫ジャック・ルノワールの原作を基にして映画化。「ルノワール 陽だまりの裸婦」(ジル・ブルドス監督)が4日、公開される。仏コートダジュールで過ごした晩年を、ルノワールの絵画のごとく光あふれる映像でつづった豊潤な一作。ルノワールを演じるのは仏映画界の名優ミシェル・ブーケさん。三男役に「自転車と少年」のトマ・ドレ君……「少年と自転車」(2011年)のシリルで知られるドレ君が美少年に成長していた!
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1915年。コートダジュール。アンドレ(クリスタ・テレさん)は自転車に乗ってルノワールの邸宅を訪れた。ルノワール夫人の紹介で絵のモデルになるためにやって来たのだ。夫人は亡くなっていたが、彼女の手を見て気に入ったルノワール(ブーケさん)は、モデルとして採用することにした。ポーズをとるアンドレを前に創作意欲をかき立てられるルノワール。だが、持病のリウマチ性関節炎の痛みが容赦なく襲ってくる。その上、第一次大戦に従軍している2人の息子たちのことが気がかりだ。ある日、足を負傷した次男のジャン(バンサン・ロティエさん)が帰還。その翌朝、ジャンはアトリエで一糸まとわぬ姿のアンドレと出くわした……。
父ルノワールの最後のモデルで、息子ルノワールを映画監督の道へと導き、のちに彼の妻となったアンドレ。演じるテレさんの美しいこと! マーク・リー・ピンビンさんによる流れるカメラワークが、ルノワールの創作風景をとらえ、まるで自分も画家となって風景を感じ取っているような気分にさせられる。風のざわめき、川のきらめきの中にミューズが裸で生き生きとしている。老画家と戦争の暗い影との対比で、余計に生き生きと感じられ、見ているだけで胸がいっぱいになる。しかし、今作はただ美しいだけの映画ではなく、キッチンに集う女性たちはたくましく、命を削って創作する芸術家の生きざまは力強い。同じ女性からインスパイアされた父子の、芸術家として似ている部分や、父の楽園的な世界に反発する息子の姿も描かれている。4日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出し、趣味の映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。
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