ゲーム制作に込めた開発者の思いを聞く「ゲーム質問状」。今回は「BEYOND:Two Souls」(ソニー・コンピュータエンタテインメント、PS3)です。ディレクターを務めたゲーム開発会社「Quantic Dream」代表のデビッド・ケイジさんに作品の魅力を聞きました。
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−−ゲームの内容について教えてください。
「BEYOND: Two Souls」はある不思議な能力を持って生まれたジョディ・ホームズと彼女だけがコンタクトできる霊体「エイデン」を通して語られる物語です。この作品では、ジョディの8歳から23歳にわたる15年間の人生が描かれ、うれしい出来事や、困難な出来事、人生のありとあらゆる部分を追体験することができます。ジョディとエイデンという2人の主人公を操り、一緒に物語を進めながら、2人の関係に秘められた謎を徐々に解き明かしていきます。
−−セールスポイントは?
この作品を作るにあたって最も意識したのが、感情を揺さぶるような意味のある体験を提供することでしょうか。この作品が持つ深いテーマと複雑な感情体験は今までのゲームにはないものだと思います。次に、ハリウッド俳優であるエレン・ペイジ(「JUNO/ジュノ」「インセプション」)とウィレム・デフォー(「スパイダーマン」「プラトーン」)の2人をメインに起用したことも大きいですね。本作の登場人物は全て演技をキャプチャーして反映しています。特にメインの2人の迫真の演技は、ほかのゲームでは類を見ないほどのリアリティーをキャラクターに与えています。
最後に、できるだけ多くの人にこの作品を楽しんでいただくために、PS3のコントローラーだけでなく、スマホやタブレットでもこのゲームを操作できるようにしました。このような試みをコンソールで実現したのは僕たちが初めてではないでしょうか。このゲームは1人でも2人でも遊ぶことができますので、ぜひいろいろな遊び方で体験の違いを楽しんでいただきたいと思います。
−−企画のコンセプトは?
このコンセプトにたどり着いたのは、ある近しい家族の死に直面したときのことでした。非常にショックなできごとで、死や死後の世界について考えるようになり、徐々に死というものをテーマにした物語を書くことを思い立ちました。この作品では成長や悲しみ、ありのままの自分を受け入れること、そして死そのものをテーマにさまざまな形で描いています。
1年かけて台本を書き終えたとき、エレンとウィレムに連絡をして、プロジェクトに興味がないか聞いてみたんです。実際に2人をスキャンしてから演技をしてもらい、その演技をモーションキャプチャーとして取り込んでゲーム内の彼らの分身に反映させるというコンセプトを基にして。おかげで映画並みの臨場感と演技、それにゲームという特徴を生かした「関われるストーリー」というものを実現できました。
−−ゲームの開発で苦労したこと、面白いエピソードを教えてください。
ゲームは映画とは勝手が違うので、ずっと映画で演技を続けてきた人たちは相当戸惑ったと思います。特にエレンは、撮影が5~6カ月も続きましたし、覚えなくてはならないセリフの台本も数百ページはありました。シナリオの展開も一つではなく、プレーヤーの選択に基づいて展開するよう一つのシーンでもかなりのバリエーションを撮らなくてはいけなかったからです。
あとはセットでしょうか。BEYONDのセットは本当に何もないんです。本作で登場するすべての環境、衣装、小道具は全部3Dで撮影後に追加されたものなので、演技をしている役者はそれらをすべて想像しながら演じなければいけなかった。でも、今言ったことは制作中直面したチャレンジのほんの一部です。ゲームとして新しい試みも数々ありましたし、グラフィックのレベルもこの世代では最高峰のものになっています。その実現にはかなりの困難と努力が必要でした。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
「BEYOND:Two Souls」で得られる体験は他ではなかなか味わえないものだと思っています。このゲームは、敵を撃つことが目的ではないし、プレーヤーには特別なスキルや小難しいパズル解きを求めません。このゲームのメインとなるのは、主人公とともに体験する、感情の旅なんです。「HEAVY RAIN −心の軋(きし)むとき−」をプレーしてくれたユーザーの皆様や、新しい体験を求めている人たちには、ぜひ「BEYOND:Two Souls」を遊んでみてほしいです。
Quantic Dream代表 「BEYOND:Two Souls」ディレクター デビッド・ケイジ
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