8日に肝臓がんのため亡くなった歌手の島倉千代子さんの葬儀・告別式が14日、東京・青山葬儀所でしめやかに営まれ、歌手の石川さゆりさんや細川たかしさんら生前交流のあった関係者1000人、ファン2000人の計3000人が詰めかけた。出棺時に島倉さんの大ヒット曲「人生いろいろ」が流れると、手拍子とともにファンから「島倉さーん!」「千代ちゃーん!「ありがとう!」などという声が上がった。棺は細川さんや新沼謙治さんらが運び、石川さんは涙を流しながら「人生いろいろ」を口ずさみながら最後の別れを告げた。
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告別式では、島倉さんが5日にレコーディングした最後の曲「からたちの小径(こみち)」とともに、「人生の最後に素晴らしい時間をありがとうございました」と語る島倉さんの肉声も流され、参列者らは島倉さんの最後の歌声に目を閉じて聴き入った。島倉さんに憧れて歌手の道へと進んだ石川さんも弔辞に立ち、「生涯を歌い手として見事なまでに全うされて、歌も夢もどんなときも失ってはならないと私たち後輩に示してくれました。でも、本当に寂しいです。もっともっとお元気で歌ってほしかった。優しく時に厳しくしかってくれる人がいなくなってしまいました」と涙ながらに語った。
戒名は「寶婕院千代歌愛大姉(ほうしょういんせんだいかわいだいし)」で、「美しき日本の宝の人」で「千代(永久)に歌を愛する歌愛い(かわいい)人」という意味。遺影は2011年1月に撮影された島倉さんがお気に入りの写真で、生前愛用していたマイクも飾られ、祭壇はりんどうやゆりなど1万8000本の花で彩られた。場内には、1955年のデビュー曲「この世の花」から昨年の最新シングル曲「愛するあなたへの手紙」まで島倉さんの楽曲が流された。
島倉さんは東京都品川区出身。1953年、地元の日本音楽高校入学。在学中の54年に「コロムビア歌謡コンクール」で1位になり、55年のデビュー曲「この世の花」で一躍人気歌手となった。57年には「逢(あ)いたいなァあの人に」でNHK紅白歌合戦に初出場し、86年まで30回連続出場を果たした。87年に発表した「人生いろいろ」が大ヒット。ものまねとしてアレンジされ、幅広い世代に親しまれた。翌88年に同曲で日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受けた。99年紫綬褒章。8日午後0時半、肝臓がんのため亡くなった。75歳。(毎日新聞デジタル)