注目映画紹介:「モーレツ宇宙海賊」 笹本祐一のSF小説をアニメ化 女子高生船長の新たな活躍

「モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE−亜空の深淵−」の一場面 (C)2013 笹本祐一/朝日新聞出版・劇場版モーレツ宇宙海賊製作委員会
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「モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE−亜空の深淵−」の一場面 (C)2013 笹本祐一/朝日新聞出版・劇場版モーレツ宇宙海賊製作委員会

 宇宙海賊船・弁天丸の船長で女子高生の成長を描いたテレビアニメ「モーレツ宇宙海賊(パイレーツ)」の劇場版アニメ「モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE−亜空の深淵−」が22日に公開された。「モーレツ宇宙海賊」は、笹本祐一さんのSF小説が原作で、2012年にはテレビアニメが放送された。劇場版は、謎の少年・無限彼方ら新キャラクターも登場して完全オリジナルストーリーが展開する。SFアニメ「機動戦艦ナデシコ」の佐藤竜雄さんが監督・脚本を務めた。声の出演は小松未可子さん、花澤香菜さん、下田麻美さん、戸松遥さんら人気声優がそろい、小松さんはイメージソング「Sail away」を歌っている。オープニングテーマはテレビ版と同じくアイドルグループ「ももいろクローバーZ」の「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」で、テーマソング「キラキラ go−round」を中川翔子さんが「angela Presents/中川翔子」名義で担当している。

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 白凰女学院高等部に通う加藤茉莉香(声・小松さん)は、政府発行の「私掠船免状」を持った合法の宇宙海賊。亡くなった父の跡を継ぎ宇宙海賊船・弁天丸の船長となった。3年生進級を目前に控えた春休みのある日、豪華客船での海賊営業の仕事を請けた茉莉香は、乗客リストの中に銀河パス所有者・無限彼方(声・下田さん)の名前を発見。茉莉香は彼方の父親・無限博士との約束を果たすため、海賊ショーの最中、彼方に語りかける。そして、茉莉香と彼方は弁天丸に乗り込むが……という展開。

 本格スペースオペラとして人気を博した原作やテレビ版の魅力を、劇場版でも遺憾なく発揮。緻密なSF設定で骨太なストーリー展開ながら、どこかとぼけたようなゆるさを感じさせる雰囲気には好感が持てる。特に契機や伏線が必ず事前に用意されていて、どのような展開であれ、見る側が納得しながら見進められる丁寧な組み立ての構成には目を見張る。密度は濃いがやや駆け足になってしまっている部分もなきにしもあらず。全体を通して、コンピューターグラフィックス(CG)や作画については劇場版らしいスケールで、電子戦や白兵戦といった“らしい”要素でも楽しませてくれる。宇宙という壮大なスケールの舞台や躍動感は大スクリーンに映え、「Elements Garden」による劇伴も胸に迫る迫力で物語を彩る。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開中。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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