COWCOW:「映画ドラえもん」で声優に 「スタッフロールで名前が出たときシビれた」

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 劇場版アニメ「映画ドラえもん 新・のび太の大魔境~ペコと5人の探検隊」が8日に公開された。今作は、藤子・F・不二雄生誕80周年記念作品で、1982年に公開された「ドラえもん のび太の大魔境」を最新のコンピューターグラフィックス(CG)を駆使してリメーク。未知の秘境・バウワンコ王国を舞台に、のび太たちが大冒険を繰り広げる様子を描く。映画の応援隊員を務め、ゲスト声優として「バウワンコ王国」の兵士・バーナード役とブルテリ役を演じたお笑いコンビ「COWOCW」の多田健二さんと善しさんに話を聞いた。

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 「本当に最高の気分でした」とゲスト声優が決まったときの喜びを表現する善しさん。多田さんは「にんまりが止まらない」といい、「“売れている後輩、見たか”という感じですかね(笑い)。お前たちはドラえもん出たことあるか。俺は出られることになったぞということですね」といたずらっぽい笑みを浮かべながら話す。「(記事に)書きにくいでしょ!」とすかさず突っ込む善しさんは、「マネジャーから『こういう仕事が来ました』と知らせがありましたけども、そういう形で報告された中では一番テンションが上がりました。一芸人をやっていてもなかなかないですよね。『あたりまえ体操』でレギュラー放送にも(3月8日まで)出させてもらえたというのもうれしかったです」と当時の心境を振り返る。

 周囲の反応を聞くと多田さんは「うれし過ぎる仕事はあまり周りにいわない。SNSなどでさりげなく“『ドラえもん』見てね”みたいなことをつぶやき、そこから散らします。『ドラえもん』に出ているねといわれて本当はすごいやろ!と言いたいところですが、そういえば出てたなぐらいのリアクションで周りを驚かせるという戦法をいつもとっています」と冗談めかして語った。その反動か「家族にはすぐ言います。嫁、子ども、そして両親などには『出られるようになったから見てね』というのはいいます」と多田さん。善しさんは多田さんの発言にあきれながらも「子どもは『ドラえもん』を毎週見ていますが、とにかく信じられないみたいな顔でした。よく分からないという感じなんでしょうね。(映画を実際に)見て、どんなリアクションするか楽しみです」とほほむ。

 2人は、ドラえもんたちの行く手をはばむ犬の兵士役で、善しさんはバーナード、多田さんはブルテリの声を担当する。役作りやアフレコについて、善しさんは「バーナードはおっとりした感じで、しかもなまっているので、親の農作業を継がずに田舎から出てきてバウワンコ王国の兵士に志願したという裏設定を作ってやりました」と独特な役作りについて明かす。善しさんは自分なりの設定に忠実に演じた結果、ドラえもんの声を担当している水田わさびさんから「田中邦衛の声(のものまね)でいったんですか?」といわれたそうで、本人も「地声的には似ていないので、できれば(田中さんの顔を)ワイプで出してほしかった」と笑う。

 一方、多田さんも「野球部だったとしたら」と独特の役作りをしたそうで、「補欠だけど『走れ』とかそういうところだけ一丁前に下に指示するみたいな先輩という感じのイメージ。バウワンコ王国のスネ夫じゃないですけど、バーナードを引っ張っていく感じなので、スネ夫よりもっと性格がきついといいますか、でも憎めないというようなイメージでやりました」と表現する。

 自分たちの声が入った映像を見たときの感想を善しさんは「すごくいいようにしてくれて、ありがたいなと思いました」といい、多田さんは「ちゃんと溶け込んでいるかどうか、足を引っ張っていないか浮いていないかというので、ハラハラしながら自分のところは見てしまい、楽しんで(自分たちの出演シーンは)見られなかった」と話す。続けて多田さんは「ペコと戦うシーンは10テイクくらいやり、最初は正直、どうして何回も録るんだろうと思っていたのですが、出来上がりを見て、やり直してよかったし、監督さんはやっぱりすごいという感じでした。最後の方はブルテリとバーナードが出てくるのが楽しみになりました」と自信を深めたという。多田さんの言葉にうなずいた善しさんは「映画の中で感動した部分もあったのですが、スタッフロールのところで名前が出たときにやっぱり感動し、シビれました」とうれしそうに語る。

 今作にちなんで、子ども時代の“冒険”について聞くと、「僕らの世代は外で竹やぶの中に入ってみたり、今考えたらすごく危ないですけど、土管に入ったりとかをやっていたので、それこそ裏山の秘密基地じゃないですけど、そういうのを作った思い出もあります。そういう意味で“ミニミニ冒険”は小学校のとき、すごくやりました」と善しさん。そして「『ドラえもん』の世界では(冒険といえば)何泊もするので、夢ですよね。(今作にも)『ちょっとアフリカに行ってくる』というシーンもありますが、その感じがいい。夢がありますよね」と大冒険をうらやむ。

 「近所にあった防空壕(ごう)に行ったり、野犬が出るらしいというので野犬を見に行ったり、今考えると、どんなところに住んでいたのかと」と笑う多田さんは、「『ドラえもん』とは全然規模が違いますけど、当時としてはすごく冒険。隣町に行くだけでも冒険で、小学校のときとか(行った先で)同世代のやつとちょっとケンカになったりして帰ってくるというだけでも、冒険でした」と懐かしそうに振り返る。

 「ドラえもん」といえは“ひみつ道具”だが、あったらいいと思うひみつ道具を善しさんは「“すべらない”道具があればいいですね。どこへ行っても受ける、何をしゃべってもみんなが笑うという、芸人的にはそれですね」といい、多田さんは「“グルメテーブル掛け”とかご飯系(のひみつ道具)が好き。めっちゃおいしそうでこれこそ夢がある」と力説。続けて「(今作に出てくるように)帽子が部屋になるというのは、やっぱり『ドラえもん』ならではで胸がワクワクするようなシーン」と目を輝かせる。

 今作の魅力を善しさんは「今の小学生の子どものお父さんの多くは僕らぐらいで、どまん中で(オリジナル版を)見ていた世代だと思いますが、(いろんな部分が)すごく変わっているのが分かるので、子どもと一緒に見てほしい。大人も楽しめますとかよくいうんですけど、おそらくその世代に向けて作っているのは明らかなので、ぜひ、見てほしいですね」とメッセージを送る。多田さんは「スタッフさんの熱き思いが面白さを通り越えて詰まっている。これだけやれば誰も文句をいわないだろうというぐらいの熱い思いを、皆さんにも感じていただきたいと思います」と熱く語った。TOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開中。

 <プロフィル>

 1974年8月8日生まれ、大阪府出身の多田健二さんと、1974年10月19日生まれ、大阪府出身の善しさんによるお笑いコンビ。2人は中学・高校の同級生で、ともに吉本総合芸能学院の大阪校の12期生。1993年にコンビを結成し、98年に ABCお笑い新人グランプリ最優秀新人賞、99年 にNHK新人演芸大賞などに輝く。2001年に東京進出。11年から披露している「あたりまえ体操」でブレークし、お笑いだけでなくテレビアニメの声優など幅広い活躍を見せている。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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