潘ちゃん×潘さん交換日記:内海賢二さんを思う 潘恵子

今こうしてメッセージを書かせていただけるのも、内海賢二さんと出会え、導いていただいたおかげなのです。
1 / 11
今こうしてメッセージを書かせていただけるのも、内海賢二さんと出会え、導いていただいたおかげなのです。

 「HUNTER×HUNTER」のゴン役などで人気上昇中の声優・潘めぐみさんと、「機動戦士ガンダム」のララァ役などで知られる母親の潘恵子さんが、さまざまな思いや出来事を交換日記形式でつづります。今回は、“潘さん”こと恵子さんが、昨年6月に亡くなった声優の内海賢二さんについて語ります。

あなたにオススメ

 ◇

 昨年の6月、私を声の世界に導いてくださった内海賢二さんがお亡くなりになりました。この6月13日には一周忌を迎えます。

 こうして私たち親子でアニメや洋画の声のお仕事をさせていただき、そしてまんたんウェブに今こうしてメッセージを書かせていただけるのも、内海賢二さんと出会え、導いていただいたお陰なのです。

 41年前、日大芸術学部に在学中、友人の勧めで「面白い劇団があるから、受けてみたら?」と言われ、研究生試験を受けて入った先が当時ブラックユーモアで人気を集めていた「劇団未来劇場」!! その劇団のスターで、後に私を声の仕事に誘って、そして導いてくださったのが内海賢二さんです。

 二足のわらじを履いて?寝る暇もなく大学と劇団を行き来しながら舞台の勉強をして3年、ちょっと疲れて弱気になり、劇団も芝居もやめます!と内海さんに相談した時、「スタジオに見学に来てごらん!」と内海さんが出演していた海外アニメの吹き替えのスタジオに誘ってくださったのが声の仕事、声優になったきっかけなんです。

 そしてそれは、神谷明さん、新人だった玄田哲章さんと初めて会った瞬間でもありました。内海さんはとっても楽しそうで、ジョークを言ってみんなを笑わせ、和ませてくれる、スタジオにはなくてはならない存在でした。

 スタジオが終わってみんなで飲み会、そこでも内海さんがその場を盛り上げます。そんな中で私にも気を使って皆さんに紹介してくださって、楽しませてくださいました。

 「どんな小さな場所でも光ってるやつはいるんだ! 光らなくちゃ」「一生懸命やっていれば、見てる人は必ずいるんだ! 頑張れよ!」……、飲みながら内海さんが力強く語ってくださいました。

 そして「こんな楽しい世界があるんだ……」と思っていた矢先、内海さんの奥様、当時「サザエさん」のワカメちゃん役をしておられた野村道子さんから「賢ちゃんから聞いたんだけど、お芝居やめちゃうの? 声の仕事をやってみない?」とお電話をいただき、何かに引っ張られるように内海さんご夫妻について行って……。そして今に至っている私です。その間40年。何から何までお世話になって、たくさんのことを教えていただきました。

 めぐみが「HUNTER×HUNTER」のゴンに決まった時も、道子さんを通じてご報告し、第1話には内海さんも船長さんで出演してくださいました。親子で内海さんと共演できるなんて思ってもいませんでしたが、これも全て、学生時代に内海さんにお会いしていなかったら、あり得ないことでした。右も左も分からない、声優という仕事も知らなかった私をここまで引っ張ってくださった内海さんご夫妻には心から感謝しています。

 亡くなる3日前、病室のベッドの上で「恵子! もう1000年女王の時代じゃないんだぜ! 今はHUNTER×HUNTERの時代だ!」と冗談を言って、笑わせてくださった内海さん。

 内海さん! 私もいつかはそちらにうかがいますからね! それまでは内海さんからの教えを、めぐみや若い人たちに伝えていきますから、安心してください。私じゃ心配かなあ? でも大丈夫、頑張ります。天国から、皆を、いや、特別に道子さんを見守ってあげてくださいね。潘恵子

 ◇プロフィル

 潘恵子(はん・けいこ)=東京都生まれ。「機動戦士ガンダム」のララァ・スン役や「聖闘士星矢」の城戸沙織役などで人気を集める。また、西洋占星術師としても「月刊ガンダムエース」(角川書店)、「のびのび子育て」(PHP研究所)などで連載を持つほか、「ララァのガンキャラ占い」(角川書店)など著書多数。

写真を見る全 11 枚

アニメ 最新記事