中川翔子:「トランスフォーマー」最新作でヒロイン役の吹き替え 「脳にビッグバンが起きる」

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 ハリウッドの人気SFシリーズ「トランスフォーマー/ロストエイジ」(マイケル・ベイ監督)が公開中だ。今作は、「トランスフォーマー」シリーズの最新作で、正義の軍団オートボットと悪の組織ディセプティコンの新たな戦いが幕を開ける。キャストが一新され、主演をマーク・ウォールバーグさんが務め、その娘テッサには若手のニコラ・ペルツさん、テッサの恋人シェーンはジャック・レイナーさんが演じている。日本語吹き替え版でテッサ役を担当したのはタレントの中川翔子さん。実写版のハリウッド大作では自身初の日本語吹き替え挑戦となった中川さんに、吹き替えに参加してみた印象や「トランスフォーマー」の魅力などを聞いた。

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 ◇“宇宙規模の一大任務”と身震い

 ヒロイン役の声優に決まった時のことを、中川さんは「ずっとずっと残る超大役なので光栄の極みであり、そしてやっぱりうれしいという喜びはもちろんあふれ出して止まらなかった」と独特の表現で心境を語る。そして、「これまで生きてきていろんなうれしいことやミラクルがたくさんあった中でも、宇宙規模の一大任務。責任重大であり、全人類待望の『トランスフォーマー』シリーズ最新作のしかもヒロインということで、もう本当にひっくり返りました」と笑顔で振り返る。

 出演にあたり、「愛を持って挑まなくちゃ」と考え、「シリーズの歴史も改めて勉強するということで、(実写映画の)3とアニメシリーズも見返したら、はまってしまいました」と夢中になった結果、「“トランスフォーマーな毎日”」になったという。「ずっとクリアできないでいたファミコンソフト『トランスフォーマー コンボイの謎』に再挑戦したり、(バンブルビーのモチーフとなった)黄色いカマロの値段を調べたりしてしまいました」と言って笑う。

 ◇アニメと実写の演じ方の違いに戸惑う

 中川さんはこれまで「テンションが高い役や低い役、ポケモン役などいろんな役があった」と語るように数多くのアニメ作品で声優を務めてきたが、今作では実写の洋画で17歳の女性テッサを演じる。「(テッサは)ティーンエイジャーだけど、外国人の10代の方はすごく落ち着いている」部分が難しかったと明かし、「私は『オプティマス様!』『バンブルビー可愛い!』みたいに脳がずっと“小2”ぐらいなのに、(テッサは)すごくクール!」と表現して笑いを誘う。テッサ役を演じる上で「力の抜き加減が難しかった」そうだが、「クールで大人っぽいということなので普段より声を低くしました」と役作りについて語った。

 監督からは「生身の演技と同様に生々しさで演じてください」との指示があったというが、アニメ作品を経験してきたことで「アニメのくせが付いてしまっているのか、息遣いとかはちょっと大げさに強調しちゃうところがある」と感じ、くせをなくす作業から始めた。10代の複雑でゆれ動く心理について、「ツンツンしているけど、お父さんに対して複雑で素直になれないという気持ちも分かる」と共感し、「本当はお父さんのことが好きな気持ちがにじみ出ているというのを、微妙な声色で加減を表すのは難しかった」と打ち明ける。

 さらに「声のテストが何度もあったのですが、テッサの顔以外は全部モザイクになっていた」と驚き、「どういったらいいのだろうと状況が分からないまま録音した」と“ハリウッド大作”ならではの「(映像解禁の)厳戒態勢のすごさ」を痛感。「いっぱい審査をクリアして監督が最終的にOKのハンコを押したら本決まり。(審査が)何段階もあったというのが今までの人生にない経験でした……」と語り、「超大作なのだという緊張感で気が引き締まりました」と感慨深げな表情を見せる。

 ◇4作目公開直後ながら5作目に期待

 心理描写が丁寧に描かれる一方、中川さんは「『トランスフォーマー』といえばヒロインがとんでもない目に合う」と紹介。特に「地上800メートルの空中で話すなど、想像もできないようなシーンがたくさんあり難しかった」と話し、「実際に自分も高所恐怖症なので恐ろしいシーンでした」と苦笑する。アクションシーンが多くなる後半では、せりふが「ほぼ叫びだった」と冗談交じりに振り返り、「前半のドラマシーンを主に先に録ったのですが、話すシーンでテンションを抑えるのに苦労しました」と声の使い分けに苦労したという。

 自身が演じたテッサ役を「友達と話している時は年齢らしく明るくキャピキャピしていてて、お父さんや彼氏の前ではちょっとクール」と評し、「テッサ自身の今後の成長も楽しみ」と期待を寄せる。「続編でもし出てくるとしたら、すっかり大人になった“セクシーテッサ”になっているのでは(笑い)。すでに今から(次回作となる)“5”が楽しみ」と目を輝かせる。

 ◇映画という文化が好き

 多方面で活躍する中川さんだが、今年は初主演映画「ヌイグルマーZ」を皮切りに、女優として声優として多数の映画に出演している。「映画雑誌で8年ぐらい連載していたり、映画という文化がとっても好き」と言い、「(映画は)時を超えて海を越えていろんな大事なものを伝えてくれ、繰り返し見るたびに出合った年齢とは受ける衝撃が違う」と語り、続けて「ずっと残るという最高の“生きた証し”という意味で映画がすごく憧れだったので、『トランスフォーマー』はじめ多くの作品に出演できて本当に幸せ」と喜んでいる。

 「トランスフォーマー」の魅力を聞くと、「アクションに最先端CG(コンピューターグラフィックス)といっぱい魅力がある」と前置きし、「車からロボットに変形するなんて、こんなに“たぎる”ことはない」と独特の表現で語り、さらに「心を教えてくれることも外せない」と強調。「自分の命を懸けて大切な存在を守ることは、人類にはなかなかできない。オートボットたちは人類よりもずっと熱い心を持っている」と分析。そして、「オプティマスは何度も地球を助けてくれているのに、愚かな人類が地球から出ていけというのが腹立たしい」と興奮気味に話し、「本当に大切なものをオプティマスたちが教えてくれる。だから究極にカッコよく、熱い」と拳を握りしめた。

 今作を「超絶映像で誰も見たことのない興奮、感じたことのないたぎりが人生を革命してくれる作品」と絶賛し、「『すごい!』とか『すごくカッコいい!』は足りないほど、未知の衝撃が脳から全身にビリビリといき、脳に“ビッグバン”が起きます」と“らしさ”全開でアピール。そんな中川さんの今後やってみたい役は? 「実写で自分がゾンビになって出たり、あとは悪い役がやってみたい」と笑顔を見せ、「すごみのある大人になっていきたいなと感じています。そういう役が来るようなすごみを今、探しています」と語った。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開中。3D同時公開。

 <プロフィル>

 1985年5月5日生まれ、東京都出身。2002年に芸能界デビューして以来、数多くのテレビ番組に出演し人気を集める。04年11月から始めた公式ブログ「しょこたん☆ぶろぐ」でも人気を博し、ブログブームをけん引。06年には歌手デビュー。そのほか、声優やイラスト、マンガ家にドラマ出演など、多方面でマルチな才能を発揮する。今年1月に公開された「ヌイグルマーZ」(井口昇監督)で映画初主演を果たす。出演作として「TOKYO TRIBE」の公開(30日)を控える。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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