モデルの比留川游さんが出演した映画「最後の命」(松本准平監督)が公開中だ。比留川さんは、10代でモデル業をスタートし、2013年にはドラマ「かなたの子」(WOWOW)で女優デビュー。役者業2作目である今作で、念願の映画初出演を果たした。本格的な演技も今回が初めてで「不安がありました」と明かす一方、撮影を振り返り、「すごく楽しかった」と声を弾ませ、「今後も続けていきたい」と語る女優業の魅力を聞いた。
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映画は、芥川賞作家の中村文則さんの同名小説が原作。幼少期に集団婦女暴行事件を目の当たりにしてトラウマを抱える桂人(柳楽優弥さん)と冴木(矢野聖人さん)。高校卒業後、久しぶりに2人が再会した夜、桂人の部屋で顔見知りの女性が殺される。その殺人事件が、凄惨(せいさん)な記憶にゆがまされた2人の人生をあぶり出す……というストーリー。比留川さんは、桂人と冴木の同級生で、桂人の恋人・香里を演じる。
香里は、優等生だった高校時代から一転、母親の束縛の中で徐々に精神がむしばまれていく、正気と狂気の“二面性”を持った難しい役どころ。また、物語のキーパーソンでもあるため、比留川さんは「プレッシャーというか、ちゃんと演じられるかなという不安がありました」と心境を語る。その反面、「デビュー間もないのに、こんなに素晴らしい作品に出られるとは思っていなかった」といい、「本当にうれしかったです」と笑顔を見せる。
そして、臨んだ撮影現場も「すごく楽しかったです」と振り返り、「モデルの仕事をずっと続けてきたんですが、今回新しいことにチャレンジできて、すべてが新鮮でした」と充実感。もともと「毎日必ず1本は見る」と話すほどの映画好きの比留川さんだが、撮影の合間には、共演者の柳楽さんと内田慈さん、松本監督と映画トークで盛り上がったといい、「ファッションの現場でそんな話をしていても盛り上がらないんですが、(映画に対して)マニアックな人がいるとこんなに盛り上がるんだ、と思いましたね」と新たな刺激も受けた様子だ。
モデルの仕事を始めて今年で13年目。モデル業と女優業は「全然違う」といい、「モデルの仕事はいろいろなお洋服を着られて、メークをしてもらって、きれいな写真を撮ってもらって、という楽しみがあります。そして、つねに美しく見せないといけないというところがあるんですが、役者さんは美しいところだけ見せるのではなく、泣いている姿や怒っている姿など、汚いところも見せていいというか、人間らしいところも見せることができるお仕事」とそれぞれの魅力を語る。
その上で、「今は経験値が低いものに興味を引かれます」という比留川さん。「今後も女優業を続けていきたい」と語り、「わがままをいわせていただければ、昔から好きな監督さんとお仕事させていただきたいなっていう気持ちがありますね」と続ける。とくに「園子温監督の作品に出てみたいです」といい、体当たりの演技にも「挑戦してみたい」と次なるステージにも意欲を見せていた。
<プロフィル>
ひるかわ・ゆう。1986年2月5日生まれ、神奈川県出身。10代にモデルデビューを果たし、これまで数々の雑誌やファッションショー、CMに出演。2013年にはドラマ「かなたの子」(WOWOW)で女優デビューを果たし、11月8日公開の「最後の命」(松本准平監督)で映画初出演。