コスプレ:たゆまぬ努力と奥深い魅力の世界

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 アニメやマンガの人気キャラクターになりきるコスプレ。コミケなどのイベントの華である一方、門外漢からは、なかなかとっつきづらい趣味に見えているのも確かだ。週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴し、自身もコスプレを楽しむ“オタレント”の小新井涼さんがコスプレの深遠なる魅力を語る。

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 人はなぜコスプレをするのか。可愛い服が着たい、写真に撮られたい、友達に誘われて、などなど……理由や楽しみ方は人それぞれですが、中でも多いのは「好きな作品世界に、二次元に近づきたい」というものではないでしょうか。

 かく言う私もそうです。今回はそんなコスプレーヤー(以下レイヤーと略します)の視点からコスプレの魅力について自らの体験談を交えて紹介していこうと思います。

 二次元と三次元の間には超えられない壁がある。かつて私も「戦国BASARA」の真田幸村コスをするために腹筋をしまくるもその壁に打ちのめされたことがありました。

 二次元キャラってとんでも体形・髪形すぎるんです。それを痛感しているからこそレイヤーはキャラに近づく努力を日々惜しみません。衣装やウィッグの忠実さに始まり、体形維持、武器・小物の充実やロケーションまで……そのこだわりは際限なしです。

 こだわりすぎて衣装、ウイッグ、武器を全部手作りすると、布切れから毛から木材から部屋にあふれて自室が図工室と化すなんてこともあります。生首のようなウィッグスタンドや糸ノコやチェーンが散乱しているさまはどこぞの世紀末状態です。

 撮影場所は、他のレイヤーさんとの交流がしたい時は都内の大型イベント、作風に近い写真が撮りたい時はスタジオや屋外イベントへ行くなどの使い分けをします。私も「タイガー&バニー」のドラゴンキッドや、「プリティーリズム」の彩瀬なるをソロでやった時は「同じ作品のキャラと撮影できるかも」と東京ビッグサイトやTFTなどの大きな会場へ行き、「忍たま乱太郎」の綾部喜八郎や「キルラキル」の鬼龍院皐月をやった時は作品に合わせて自然の多い所沢航空公園のイベントや廃棄セットのある撮影スタジオへ行ったりしました。

 そんな努力やこだわりをしてでも続けたくなるコスプレの魅力とは何か。それはずばり「写真の中でなら二次元になれる」ところでしょう。

 例えば、自分の身長とギャップがあるキャラをやる時でもポージングを工夫することで写真の中で背の高さを変えて見せることができますし、メークで性別や種族を変えたり、造形によってメカやサイボーグにだってなれるのです。

 真田幸村には届かなかった私の残念な腹筋も、ファンデーションで陰影をつけることで写真の中では誤魔化すことができました。超えられないはずの二次元と三次元との壁も、写真の中で現実の自分とは違う存在=二次元キャラになることによって超えることができるのです。

 お金も時間も労力もかかる趣味ですが、それでもやめられないのは何より根底に作品愛・キャラ愛あってのものだと思います。レイヤーにとってコスプレとは、作品やキャラへの思いをぶつけられる大切な表現手段の一つです。そういえば、アニメではありませんが、「週刊モーニング」で連載中のマンガ「コンプレックス・エイジ」は、よりリアルなレイヤーの姿を知ることもできてオススメです。これを読んでいるあなたも、機会があれば奥深くて魅力的なコスプレの世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。ハマるかもしれませんよ?

 ◇プロフィル

 こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、社会学の観点からアニメについて考察、研究している。

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