モデルで女優の太田莉菜さんが出演した映画「海月姫」(川村泰祐監督)が27日から全国で公開される。東村アキコさんの人気マンガが原作で、太田さんは目が隠れるほどの長い前髪にジャージー姿という普段の太田さんからは想像できない姿で三国志オタクのまやや役を演じている。“三国志愛”を熱弁するまややを演じ切った太田さんに映画の撮影エピソードやスレンダーな体形に対する自身のコンプレックスなどについて聞いた。
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映画は、「男を必要としない人生」を掲げるオタク女子たちが集う共同アパート「天水館」を舞台に、主人公の月海や女装した男子・蔵之介、自らを「尼~ず」と称するオタク女子たちの姿を描いている。クラゲオタクの月海役で主演する能年玲奈さんをはじめ、池脇千鶴さんは鉄道オタクのばんばさん、お笑いコンビ「アジアン」の馬場園梓さんが和物オタクの千絵子、篠原ともえさんが年配の男性にときめく“枯れ専”のジジ様役で出演するほか、女装男子に俳優の菅田将暉さん、その兄役に長谷川博己さんも出演する。
もともと原作のマンガのファンだったという太田さん。映画への出演が決まったあと、「不安と恐怖の連続で、どうしてオファーを受けたんだろう……とか、よくも自信を持って『出演する』と言えたなと後悔もしました……」と本音で語る。クランクインするまでの期間は「不安を一つ一つぬぐっていくため」に声の出し方やまややの特徴的な動き方を研究し、自分の声を録音したり、自分の姿を動画で撮影して役作りに励んだ。また、「『三国志』を読んだり、台本を読んでまややのコンプレックスを理解して、まややの人物像を掘り下げていきました」と内面からもまややという役柄を研究した。
「毎晩、(出演を)やめればよかったと思っていました」と明かす太田さんだが、能年さんら「尼~ず」のメンバーと顔合わせで本読みをしたときに「初めてまややとして生きていけるという安心を持てた」という。「マンガの原作があるとはいえ、皆濃すぎるキャラクターなので相手がどう出てくるのか想像できなかったのですが、本読みをして映像が想像できました」と役をつかんでいった。忠実に作り込まれた天水館のセットや天水館に住むオタク女子たちが実際に使っていることを思い起こさせるような細かく作り込まれた小道具、凝った衣装に「お芝居をする上でとても助けられました」という。
切れ長の目と長身をコンプレックスに感じているまやや。劇中では、まややが自分が抱えるコンプレックスを吐露するシーンがあり、映画の見どころの一つとなっている。まやや同様、太田さん自身も、「体が細いのがコンプレックスで、『ご飯を食べた方がいいよ』と言われるのが嫌でした。ご飯を食べていても楽しくなかったんです。今は(コンプレックスに感じることは)ないですが……」と明かす。コンプレックスとの付き合い方について聞くと、「自分でコンプレックスを認めて、その先をどう打破していくか……。自分の欠点を認めて自分と会話をしてみる。そうすると楽になります」とはっきりと答えた。次回は休みの日の過ごし方などを聞く。
<プロフィル>
おおた・りな 1988年生まれ。2001年にモデルデビュー。モデルとして多くのファッション誌で活躍する。映画「69 sixty nine」(李相日監督、04年)でスクリーンデビューを果たし、その後、「ユモレスク 逆さまの蝶」(猪俣ユキ監督、06年)、「脳男」(瀧本智行監督、13年)など女優としても活動をスタート。最近はNHKドラマ「ロング・グッドバイ」(14年)、映画「ホットロード」(三木孝浩監督、14年)などに出演し、演技の幅を広げている。