「最強のふたり」(2011年)の監督コンビと主演のオマール・シーさんが再びタッグを組んだ「サンバ」(エリック・トレダノ&オリビエ・ナカシュ監督)が、26日から公開される。ビザが失効し、国外退去を命じられた青年が人生を再スタートするために奮闘する姿を、移民支援協会で出会った元キャリアウーマンや陽気な移民労働者との出会いの中で描いたヒューマン作。「X-MEN:フューチャー&パスト」(14年)でハリウッドにも進出し、「ジュラシック・パーク」最新作(15年公開)への出演も決まっているシーさんの輝く笑顔を見ると、元気がもらえる。
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サンバ(シーさん)はセネガルからフランスへやって来て10年。レストランの皿洗い係から料理人に採用されることになっていたが、ビザの更新手続きをうっかり忘れてしまい、収容所送りとなってしまう。移民支援のボランティア団体からマニュ(イジア・イジュランさん)とアリス(シャルロット・ゲンズブールさん)が面会に来て、裁判の結果、退去義務となる。さらに、アリスに1年後に申請書を提出するまではひっそりと暮らすように言われて、キレてしまうサンバだったが、アリスも逆ギレし、サンバはアリスに親しみを感じ始める。一方アリスは“燃え尽き症候群”で会社を辞め、心の病を抱えていたが、明るいサンバと出会ったことで、少しずつ元気を取り戻していく……という展開。
スマイルキラーとはシーさんのことだとつくづく思う。真っ白い歯とキラキラの瞳は、「なんとかしてあげなくちゃ」と女性に思わせ、この役にうってつけだ。サンバという陽気な名前を持つ男性と、不思議の国に迷い込んだ童話の主人公と同じアリスという名を持つ女性。支えを必要とする者同士で、次第に引かれ合っていく。だが、真面目で誠実な2人はフランス映画と思えぬほどシャイで、恋の行方にやきもきさせられる。一方で、背景には格差社会の実態があり、胸に深く突き刺さる。これが華やかなパリの陰にある一面なのだ。サンバの運命を見ていて思うのは、厳しい人生も前に進まなくては何も始まらないということと、人との出会いがいかに大切かということ。社会問題を盛り込みつつ、楽しい映画に仕上がっているのは、前作「最強のふたり」と雰囲気が似ているからだろうか。さらにゲンズブールさんが演じるアリスのファッションは、女性には参考になりそう。「預言者」(09年)のタハール・ラヒムさんが、陽気過ぎる移民労働者を演じ、ドラマを盛り上げている。新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほかで26日から公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。やっぱり、シャルロット・ゲンズブールさんはすてきですね。昔購入したアルバム「魅少女・シャルロット」を久しぶりに聴いちゃいました。
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