注目映画紹介:「劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス」一家の危機描くエスプリが効いた物語

「劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス」のワンシーン (C)2014 Handle Productions Oy&Pictak Cie(C)Moomin Characters TM
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「劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス」のワンシーン (C)2014 Handle Productions Oy&Pictak Cie(C)Moomin Characters TM

 劇場版アニメ「劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス」(グザビエ・ピカルド監督、ハンナ・ヘミラ監督)が13日に公開される。ムーミンの原作者トーベ・ヤンソンの生誕100周年記念作として、初めて母国フィンランドで製作された劇場版長編アニメーション。南の海へとバカンスにやってきたムーミン一家が、ささいな出来事をきっかけにバラバラになってしまう……という一家に訪れる初めての危機が描かれる。原作の雰囲気を生かして、全編手描きで製作されたというアニメーションや音楽からは、温かみが伝わってくる。歌手の木村カエラさんが猫しか愛することができないというコンプレックスを持った犬「ピンプル」として、長編アニメの声優に初挑戦したことも話題だ。

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 ムーミン谷を抜け出し、地中海に面したリゾート地・リビエラへとバカンスにやってきたムーミン一家。わくわくしていた気分もつかの間、フローレン(声・かないみかさん)とムーミンパパ(声・大塚明夫さん)は貴族の豪華でぜいたくな暮らしのとりこになってしまう。そんな2人に腹を立てたムーミン(声・高山みなみさん)とムーミンママ(声・谷育子さん)は、親戚が暮らす古いボートで静かに過ごすと言い出し、ホテルを飛び出してしまう……というストーリー。

 普段は仲良しなムーミン一家がバラバラに……という設定を聞いただけでも楽しみだが、加えて原作のイメージを尊重するために手描きで作られた映像が物語にマッチし、作品を彩っている。特に色合いへのこだわりが強く、豊かで温かみを感じさせる色遣いと手描きならではの味わいが独特の雰囲気にぴったり。英国の新聞に連載されていたマンガのエピソードの一つ「南の島へくりだそう」が原作になっているだけに、やや大人向けな内容となっていて、これまで放送されていたテレビアニメ「楽しいムーミン一家」とはまた違った魅力とテイストで楽しませてくれる。また同アニメの声優陣が再び結集しているのもうれしい限り。お笑いコンビ「さまぁ~ず」の三村マサカズさんがモンガガ侯爵を、大竹一樹さんがクラークの声を演じ、役どころと彼らの世界観がマッチしているのも楽しい。ピンプル役の木村さんは、映画のイメージソング「eye」も書き下ろし歌っている。「劇場版ムーミン」は13日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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