プリパラ:9カ月で売り上げ70億円 ヒットのカギは“パキる”

(C)T-ARTS/syn Sophia
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 小学低学年女児を中心に人気を集めているタカラトミーアーツのアーケードゲーム「プリパラ」。2014年7月から投入され、1月には半年でユーザー登録数が前身の「プリティーリズム」シリーズの約40万人を大きく上回る100万人を突破し、今年3月末までの約9カ月間の売り上げは約70億円を見込んでいるといい、急成長している。女児に人気だけでなく、大人の男性ファンを指す“プリパラおじさん”という言葉も話題になるなど社会現象になりつつあり、ゲームを開発した同社のAM事業部の大庭晋一郎さんはヒットのカギを「コミュニケーションを楽しめる要素を取り入れたところが大きかった」と話す。ブームの裏側を探った。

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 ◇アイカツ!は戦友

 プリパラは10年7月に稼働が始まった「プリティーリズム」シリーズの後継機として開発された。子供向けのカードゲームでは登録者数が30万人を突破すればヒットと言われる中、プリティーリズムは4年間の稼働期間中、最大で約40万人を記録したが、さらにプリパラはそれを上回る100万人を半年で突破するという爆発的な人気ぶりをみせており、テレビ東京系で放送中のテレビアニメなどメディアミックスも盛んだ。

 プリパラは、カードを読み込ませてプレーするゲーム機で、玩具店などに設置されている。カードを使ってキャラクターの衣装をアイドル風にコーディネートして、その評価やリズムゲームの点数を競う。オシャレに敏感な女児が増えたことから生まれたゲームで、「アイカツ!」(バンダイ)と同様に、04~08年に展開された「オシャレ魔女 ラブandベリー」(セガ)の系譜にある。

 メインターゲットは5~9歳の女児。タカラトミーアーツによると、一部で話題になっている“プリパラおじさん”は、全体の5%程度で「男性ファンが話題になっていますが、20歳以上の女性の“プリパラねえさん”も多い」という。また、女児向けカードゲームでは「アイカツ!」も話題になっているが、大庭さんは「一つのコンテンツだけでは、女子向けの市場は盛り上がらない。だから“アイカツ!さん”は戦友ですかね? 一緒に盛り上がれば」と話す。

 ◇仕掛けはカードに

 プリパラとほかの女児向けゲームとの大きな違いは、プレーヤー同士の“コミュニケーション”を重視している点だ。プリパラでは、プレーするたびに「プリチケ」というカードが手に入る。ゲーム本体はカメラとプリンターを搭載しており、プリチケには、顔や髪形、肌の色、ファッションなどを自分好みにカスタマイズした「マイキャラ」と、カメラで撮影した自分の顔などが印刷される。つまり、自分だけの“世界で1枚”のカードが手に入る。大庭さんはマイキャラについて「子供同士が、おそろいの衣装のキャラを作って楽しんだり、逆に友達とは違うキャラで個性を発揮するなどコミュケーションできるようにしたかった」と話す。

 さらに、プリチケは2枚つづりとなっており、「マイチケ」と「トモチケ」の二つのカードに分離することができる。マイチケは、次にゲームをプレーする際、マイキャラなどのデータを読み込めるカードで、トモチケは、友達と交換するためのカードだ。プリパラのリズムゲームは、自分のマイキャラに加え、2人のキャラクターと3人組アイドルユニットを結成できる。トモチケは、ユニットのメンバーとなるキャラのデータを読み込むために使用するもので、友達からトモチケをもらっておけば、友達が作ったキャラと共演できるのだ。トモチケを分離させる際“パキッ”という音がするため、トモチケを交換することを“パキる”という。

 カード交換は、カードゲームの楽しみ方の一つだが、通常、交換したカードは当然、手元からなくなってしまう。プリチケが斬新なのは、マイチケが手元に残るため、トモチケを気軽に交換できるところだ。大庭さんはトモチケが誕生した経緯を「ゲーム機がある場所以外でも遊べるようにするため、カードを気軽に交換できるようにした。女の子が、プリクラやプロフィルを書いたサイン帳を交換していることに注目した」と説明する。

 ◇ハマる“パキる”コミュニケーション

 プリパラのゲーム大会が開催されると、子供同士が名刺交換をするように、トモチケを交換する姿が見られるという。大庭さんは「ゲームをプレーするたびに、自分のキャラクターは成長していく。ほかのプレーヤーは、成長したキャラクターのトモチケをほしがる。人から求められるので、もっと成長させたい!と思うようになる」と説明するように、“パキる”コミュニケーションに夢中になっている子供も多いようだ。

 「ゲーム大会も積極的に開催していて、大会に参加した子供が学校で広める……というようにユーザーが増えている」と口コミが人気の大きな推進力となっているという。トモチケでつながるコミュニケーションの輪がさらに広がっていけば、ますます大きなムーブメントになっていきそうだ。

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