注目映画紹介:「グッド・ライ~いちばん優しい嘘~」米国に渡ったスーダン青年たちに心動かされる

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 「ダ・ヴィンチ・コード」(06年)で知られるロン・ハワード監督が製作した「グッド・ライ~いちばん優しい嘘~」(フィリップ・ファラルドー監督)が17日に公開された。スーダン内戦の難民として育ち、米国に渡った「ロストボーイズ」と呼ばれる青年たちの実話を基にした物語で、兄弟の絆、国境を越えて人と人とが響き合う姿を丁寧に描いている。

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 マメール(アーノルド・オーチェンさん)は子供の頃、1983年に始まったスーダン内戦によって南部の村から逃げてきた。逃げる途中で兄テオと離れてしまい、妹アビタル(クース・ウィールさん)や、北から逃げてきた兄弟のジェレマイア(ゲール・ドゥエイニーさん)とポール(エマニュエル・ジャルさん)とともに13年間難民キャンプで暮らしている。医療の手伝いをしながら医師になることを夢見ていたある日、仲間とともに米国に移住することになる。カンザスシティーの職業紹介所で働くキャリー(リース・ウィザースプーンさん)は、マメールたちに仕事を紹介する任務を携えて、空港へ迎えに行く。ファストフード店も知らず、全く文化の違う難民たちに、キャリーは頭を悩ませる……という展開。

 命からがら難民キャンプにたどり着くまでの過酷な子供時代が、臨場感あふれる映像で描かれ、このパートだけでも見応えがある。青年たちのバックボーンがしっかりと描かれたあと、大国を訪れたマメールたちのカルチャーショックは温かな笑いが流れ、純粋な心にほのぼのさせられたり、ハッとさせられたりする。投げやりな雰囲気だったキャリーが、彼らと過ごしながら大事なものを取り戻していく様子も、並行して語られ、人と人との関わりから生まれる希望の物語に心を動かされる。心根のまっすぐな主人公マメールも魅力的だ。祖先から伝わる誇り高き生き方、兄弟の強い絆、医師という夢に向かうブレない強い心。土地も両親も奪われた難民のマメールだが、実は人としてたくさんの大切なものを持っている。離れ離れになった妹、子供の頃、別れた兄はどうしているのだろうか、という展開も見る者を引きつける。脚本のマーガレット・ネイグルさんは、実際の「ロストボーイズ」約1000人から話を聞いたという。元少年兵だった俳優や難民キャンプ出身の女優がキャスティングされているのも話題だ。TOHOシネマズ シャンテ(東京都千代田区)ほかで17日から公開。(キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。先日、世田谷美術館で開催(19日まで)されている「東宝スタジオ展 映画=創造の現場」を堪能してきました。

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