半年間のロンドン留学を経てパワーアップしたWEAVERが、ニューシングル「くちづけDiamond」を20日にリリースした。全4曲を収録したシングルは、留学前から留学中、そして現在までのこの約1年半のWEAVERの物語を彩るサウンドトラックのような1枚になった。メンバーに聞いた。
あなたにオススメ
来春朝ドラ「あんぱん」の“二人の妹” 朝ドラヒロインまで手が届くか
――シングルとしては1年ぶりのリリースですが。
杉本雄治さん:英国留学を終えて、今までとはひと味もふた味も違うWEAVERを魅せたいという思いがありました。
河邉徹さん:ロンドン留学の成果をぞんぶんに発揮した1枚です!
――「くちづけDiamond」は、アニメ「山田君と七人の魔女」のオープニングテーマとして好評ですね。
杉本さん:SNSでも高評価をいただいているので、安心しました。実はアニメタイアップをやることで、これまでのファンはどう思うのか、最初は不安を感じていたんです。でも、やる前から二の足を踏んで、結局やらずに終わって後悔するのは嫌だなと思ったし。たとえそれがマイナス面を伴うものだったとしても、自分たちの力でプラスに変えていければいいんだと思ってチャレンジしました。
実は、楽曲の基になったものは留学前からあって。新しさや何かが始まるワクワクを感じさせる力を持った曲だと思っていたので、アニメのオープニングにも合うだろうと思ったし、今の僕らがやりたいことも詰め込めると思って、この曲をブラッシュアップさせました。
――歌詞には、「山女」という原作の魅力をどう落とし込んだのですか?
河邉さん:原作はラブコメで、笑えるところもたくさんあるし、ちょっとエッチな面もあったり、キュンとするところもあって。そんな中で、キーワードになっているのがキスなんです。それで「くちづけ」という言葉を使って、僕らなりの世界観に落とし込んでいきました。
2人の男女がいて、でもその関係性は人には言えないもので、だから形に残るものを贈り合うことができない。それで、これがダイヤモンドの代わりだよと、相手の指に口づけをする。そういう切ない世界観を描いています。曲を聴いて導かれた感覚もあるし、アニメが刺激になって、こういうストーリーを思いつきました。
――アレンジ面では、どういった工夫を?
杉本さん:イントロのピアノは、UKとか北欧寄りのイメージです。僕の中では、ピアノをギターに差し替えたら、ちょっとカントリーっぽくアレンジできるなと思っていて。ライブで遊べそうな感覚を持って作りました。
とてもポップな曲ではあるけれど、単なるポップソングにはしたくなくて。それで、宇多田ヒカルさんなどを手掛けた河野圭さんに入っていただいて、一緒に作っていきました。僕ら3人だけでは出せなかったものを、引き出してもらえたと思います。
奥野翔太さん:リズム隊は四つ打ちでキャッチーなものではあるけれど、踊りに特化したはやりのものではなくて、ひとくせあるものになっています。疾走感もあるし、ドラマチックな展開も作れているし。そういう意味では、バンド感やライブ感もバランスよく込めることができたと思っています。
――2曲目の「Beloved」は、映画「ライアの祈り」の主題歌として新たに書き下ろしたもの。スケールが大きく、プリミティブなリズムが出てきたりとアイデアも満載ですね。
杉本さん:映画「ライアの祈り」は、縄文時代の人にとっての生きるということは何かを考えることで、愛の大切さなどが浮き彫りになっていくというもの。なので、楽曲もシンプルに愛を歌っています。だからこそメロディーもシンプルなものにして、目の前にいる人に届けられる曲にしたいと思って作りました。
――サビはほとんど英語で歌っているんですね。
河邉さん:メロディーの音数が少ないので、必然的に英語になりました。
杉本さん:洋楽の持つシンプルさも意識していて、メロディーの音数の少なさは、洋楽的な作り方です。一方で、J-POPという面もすごく意識していて。そういう意味では、自分たちがやりたいものとJ-POPとのバランスが、すごくいい具合にまとまったと思います。
奥野さん:「くちづけDiamond」は、今までWEAVERに触れてこなかった新しい人にも届けられるよさがある。「Beloved」は、これまでのWEAVERを踏襲しながら、歌がストレートに届くバラードになっています。最初は「Beloved」がシングルでもいいと思ったくらい、僕らが表れている曲です。
――そして3曲目の「Inception」と4曲目の「Time Piece」は、帰国後のツアーでも披露していた曲を、新たにアレンジして収録。ロンドンに行く前に元があってブラッシュアップさせた表題曲、帰って来て新たに書き下ろした先ほどの曲。そして、このロンドン留学時に作った曲と、いろんな時期の曲が入った1枚になりましたね。
河邉さん:3曲目と4曲目は、ツアーでも評判がよくて、CDに収録するのはこれが初めてなので、ファンの皆さんがすごく喜んでくれています。
奥野さん:昨年の留学、帰国後のツアーを経て、この1年半の僕らがギュッと詰まっています。今、WEAVERが出したい音が詰まった1枚ですね。
杉本さん:次のアルバムに向けての懸け橋のようなシングルです。
――現在は、全国ツアー「WEAVER Live House TOUR 2015 『Bring A Diamond ~Sing Like Dancing In Your Home!!~』」を開催中。残りあとわずかとなりました。
杉本さん:ツアータイトルは「くちづけDiamond」になぞらえて、僕らがやっている音楽=Diamondをみんなが待っている街に届けに行くという気持ちで付けました。
河邉さん:僕らの音楽はDiamondだというのは少し大仰ですが、僕らだけでは決して輝けないんです。みんなに磨いてもらうことによって、僕らの音楽はDiamondとして輝けるんだという意味を込めています。
――どんなライブになっていますか?
奥野さん:新しい機材を使っているし、お客さんに参加してもらう試みもやっていて好評ですよ。
杉本さん:単純にロンドン留学を経てスキルアップした、個々の演奏やバンドとしての骨太さが、間近でより伝わるものになっていますね。
河邉さん:ライブハウスツアーは、2年前に31カ所33公演をやって以来3年ぶり。今回は22カ所23公演で、今まで行ったことのない場所にも行っています。前回は、やるだけでいっぱいいっぱいでしたが、今回は一つ一つの会場で、自分たちが出したい音を出せている感覚です。みんなで熱くなるだけじゃなく、自分たちの伝えたいこともしっかり伝えることができていると実感しています。ライブハウスならではで、しかもWEAVERにしか出せないものを楽しんでもらえていると思います!
<プロフィル>
メンバーは、杉本雄治さん(ピアノ&ボーカル)、奥野翔太さん(ベース&コーラス)、河邉徹さん(ドラム&コーラス)。2004年に結成、09年にダウンロードシングル「白朝夢」でデビュー。バンドシーンには珍しいピアノトリオの編成とキャッチーな楽曲センスで、J-POPシーンに風を吹かせている3人組。14年末から半年間のロンドン留学を経験。同年秋に帰国した。5月30、31日に、彼らの出身地である神戸ライブハウス「神戸VARIT.」で、開催中のライブハウスツアーのファイナル公演を行う。また、7月19日につま恋(静岡県掛川市)で開催される「Amuse Fes 2015 BBQ in つま恋~僕らのビートを喰らえコラ!~」に出演する。
(取材・文・撮影/榑林史章)