ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
18日に公開されたディズニー/ピクサーの長編アニメーション「インサイド・ヘッド」(ピート・ドクター監督、ロニー・デル・カルメン監督)の日本語吹き替え版で声優を務めた女優の竹内結子さんと大竹しのぶさん。これまでは観客としてピクサーのアニメを「面白いな、すてきだな、いい話だなと浸っているだけでよかった」という竹内さんは、今回声優という役割を担ったことで、「作っている人の気持ちがより身近に感じられるようになりました」と語る。一方の大竹さんは、娘のIMALUさんはもとより、友人の2歳の子供までが興奮する姿を見て、「こんなに小さい子供までが喜んでくれるんだ」とピクサーの作るアニメのクオリティーの高さを改めて実感したという。2人に声に込めた思いや作品が自身にもたらしたものについて聞いた。
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引っ越しによって心にぽっかり穴が開いた11歳の少女ライリー。彼女の“ピンチ”を救うために、頭の中の五つの感情、ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、そしてカナシミが大奮闘するという今作で、竹内さんはヨロコビの声を、大竹さんはカナシミの声を担当している。
アニメの声優は初挑戦という竹内さんは、今回の「すでにできているものを日本語で再現する」ことが、「役柄に自分を近づけていく」という普段の芝居の作り方と違ったことに、少なからず戸惑いを感じたようだ。それでも、ヨロコビというキャラクターが、「ポジティブ過ぎて後ろを振り返らない、人をあまり思いやらないという、少しよくない点も見えてくるし、よくしゃべるし、テンションも高い」ことから、「耳にうるさく響くような話し方にならないよう」、そして「オリジナルの方(エイミー・ポーラーさん)の声がジェットコースターのようなしゃべり方なので、とにかくそれについていく」ことを心掛けたという。
それに対して大竹さんは、沈んだカナシミの声を再現しながら、「『だってしょうがないのに……』『私のこと嫌いでしょ』みたいな、イラつくぐらい(笑い)の性格だったので、その中にもユーモアが感じられればいいな」と思いながら演じていった。ただ、声を低くし過ぎると、「クレヨンしんちゃん」のしんちゃんの声に似てしまうため、「そうならないように気を付けました(笑い)」と意外な苦労も明かした。
映画には、人格を形成する「島」や、大切な記憶が封じ込められた「思い出ボール」といったものが登場する。食べることが好きという竹内さんには、どうやら「食べ物の島」があるらしく、「それが壊れたら大変だよね」と大竹さんが言葉をかけると、竹内さんは、「たぶん、物が食べられなくなったらしょぼーんとなると思います」と想像を巡らし、幼い頃、「おやつに対する執着が強く、均等に分ける」ことにこだわった記憶を手繰り寄せながら、「その時の緊張感はいまだに覚えています。それが多分(自身の人格の)コアだと思います(笑い)」と自己分析。
一方、大竹さんには思い出ボールは「たくさんある」そうで、その一つに「旅」を挙げ、「子供が小さい頃、夏休みに一緒に旅行に出かけた」ことや、最近ではプライベートでインドやバリ島を訪れたことに触れ、「行きたいところに、行きたい人と行くと、きちんとした記憶につながるのかなと思います」と、大竹さんなりの思い出を「美しいボール」にするためのコツを話した。
今作に出会ったことで竹内さんは、自分の気持ちに整理がつかない時や混乱してしまった時でも、「迷うということは何か理由がある」、だから「あまり自分を責めるのはやめよう」と思えるようになったという。それは、他人に向けるまなざしにも当てはまり、「人に対して寛大になれる気がしました。あの人の中にもきっといろんなことが起きているんだな」と考えられるようになったという。
若い頃を振り返りながら、当時は「イカリとかムカムカとか、そういう感情が活躍していたときもある」と打ち明けた大竹さんは、年齢を重ねるにつれ「自然にヨロコビが中心にいてほしいなと思うようになった」こと、そのことが今作を見ることで「余計に意識できるようになった」と語る。だからこそ、「(人に)優しくしたいと思うし、自分にも優しくありたいと思う。『ヨロコビ、頑張れ!』『ヨロコビ、いてね』と思いますね」と笑顔を見せた。
すると、隣で聞いていた竹内さんは「自分に甘くすることはできても、優しくするのって難しくないですか? 怠けたりすることはいくらでもできるけど、自分を思いやるって、なんかちょっと照れくさいからしないというか、やり方が分からないというか……」と問いかけると、大竹さんは、「『よしよし』って思うの。自分に、『よしよし頑張ったね』って言ってあげるの」とアドバイス。
それに竹内さんが「どこまでやったらよしよしって言っていいんでしょう」と重ねると、大竹さんは「ちょっとでも(笑い)」。それを聞いた竹内さんは「そうか、ちょっとでも、ですね。言ってあげよう。今日メークを落としたら自分に言ってあげよう、『結子、えらい。仕事頑張ったな。よしよし』って(笑い)」と納得し、「そう。そして、『結子、明日も頑張れ』って言ってあげるの」と励ます大竹さんと2人、うなずき合っていた。
今作は、11歳の少女の頭の中で繰り広げられる物語だが、見た人誰もが「自分のことだ」と思える内容だ。大竹さんによると、娘のIMALUさんも「すごくよかった。泣く。これは絶対見なくちゃいけない映画だ」と大絶賛してくれたという。それを受けて、「親子の会話も生まれますね」と水を向けると大竹さんは、例えば、機嫌が悪いお母さんを子供たちが見た時、「『お母さん、今、イカリがいるんだな』と思うかもしれない。そういうふうに考えてもらえるようになったらいいなと思います」とコメント。すると、竹内さんも「ほかにも、恋愛中の人でもいいですし、自分が分からなくなった人や、今やりたいことがないなとか、進路どうしようかなとか、そういうモヤモヤしたしたものを持っている人が見てもいいと思います」とあと押しし、今作が老若男女誰もが共感できる作品だとアピールした。映画は18日から全国で公開中。
<竹内結子さんのプロフィル>
1980年生まれ、埼玉県出身。96年、「新・木曜の怪談Cyborg」のヒロイン役として女優デビュー。NHK連続テレビ小説「あすか」(99年)、TBS日曜劇場「白い影」(2001年)をはじめとするテレビドラマに多数出演。映画の主演・出演作も多く、「黄泉がえり」(03年)、「いま、会いにゆきます」(04年)、「チーム・バチスタの栄光」(08年)、「ストロベリーナイト」(13年)などがある。
<大竹しのぶさんのプロフィル>
1957年生まれ、東京都出身。75年、映画「青春の門―筑豊編―」のヒロイン役で本格的にデビュー。その後、テレビ、映画、舞台、さらに音楽など、さまざまな分野で才能を発揮。近年の映画出演作に、「一枚のハガキ」「オカンの嫁入り」(2010年)、「悼む人」(14年)、「海街diary」(15年)などがある。出演した映画「ギャラクシー街道」が10月24日公開予定。舞台「ピアフ」が16年2月から公演予定。11年に紫綬褒章受章。
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