注目映画紹介:「屍者の帝国」 伊藤計劃×円城塔の名作がアニメに

「屍者の帝国」のビジュアル(c)Project Itoh & Toh EnJoe/THE EMPIRE OF CORPSES
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「屍者の帝国」のビジュアル(c)Project Itoh & Toh EnJoe/THE EMPIRE OF CORPSES

 2009年に34歳で亡くなったSF作家の伊藤計劃(けいかく)さんの小説が原作の劇場版アニメ「屍者の帝国」(牧原亮太郎監督)が2日に公開された。伊藤さんの作品をアニメ化するプロジェクト「Project Itoh」の第1弾で、伊藤さんの残した30ページの草稿を基に芥川賞作家の円城塔(えんじょう・とう)さんが書き継いだ合作が原作だ。

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 「屍者の帝国」は、死体の蘇生術が一般化した19世紀末を舞台に、医学生のワトソンらが、ヴィクター・フランケンシュタインが最初に死体から作り上げたザ・ワンの秘密が記された「ヴィクターの手記」の行方を追って、明治維新後の日本、南北戦争後の米国などを旅する……というストーリー。「シャーロック・ホームズ」シリーズのワトソンや「カラマーゾフの兄弟」のアレクセイ、「未来のイヴ」のハダリーなどが登場する。

 舞台となるのは意識がない“屍者”が蘇生によって労働力となった世界で、人間の意識や無意識などの大きなテーマを読み解くこともできるし、アレクセイなどのキャラクターの元ネタを探すのも面白いだろう。

 アニメの長さは2時間程度ということもあり、壮大なストーリーが収まりきるのか……とも考えていたが、さまざまなエピソードが丁寧に描かれている。また、美しい映像も見どころだろう。

 「アルスラーン戦記」などの細谷佳正さんがワトソン、ワトソンのパートナー・フライデーを村瀬歩さん、ヒロイン・ハダリーを花澤香菜さんが声優を担当。「ハル」などの牧原さんが監督を務め、「進撃の巨人」などのWIT STUDIOが製作している。2日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(小西鉄兵/毎日新聞デジタル)

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