機動戦士ガンダム:実物大の「ガンダム立像」動かすプロジェクトが一歩前に 富野監督も“毒舌エール”

「ガンダムGLOBAL CHALLENGE PRESENTATION ~第一次選考発表会~」に出席した富野由悠季監督(中央)ら
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「ガンダムGLOBAL CHALLENGE PRESENTATION ~第一次選考発表会~」に出席した富野由悠季監督(中央)ら

 人気アニメ「機動戦士ガンダム」が生誕40周年を迎える2019年に向けて、高さ18メートルの実物大ガンダム立像を動かすプロジェクト「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」で、昨年7月から一般公募していたアイデアの第1次審査結果が決定し、プロジェクト参加メンバーが26日、東京・秋葉原で行われたイベントで発表された。

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 「ガンダム GLOBAL CHALLENGE」は、高さ18メートルの実物大ガンダム立像を動かすプロジェクトで、昨年7月からプロジェクトが始動。立像を物理的に動かす「リアルエンターテインメント部門」と、仮想現実で動かす「バーチャルエンターテインメント部門」の2部門でプランやアイデアを世界中から公募していた。

 リアルエンターテインメント部門には、奈良先端科学技術大学院大学の博士後期課程に在籍中の金子裕哉さん(ガンダムとザクに相撲をとらせて四脚にした自立歩行<または足を上げて一歩踏み出し>の実現)▽台湾大学のミン・スン・チェン非常勤講師(ロボットが人間のような歩行を実現するための、ヒューマノイドロボット歩行に関連する新しいメカニズムの提案)▽ロボフューチャー社の木原由光さん(外部動力供給式軽量型ガンダム独立歩行システム)▽東京大学情報システム工学研究室の岡田慧准教授(ガンダム・リサーチ・オープンプラットフォームの開発、欠席)の4人を選出。バーチャルエンターテインメント部門は該当なしとなった。受賞者には報奨金50万円が贈られ、プロジェクトメンバーとして参加することになる。

 この日のイベントには、「機動戦士ガンダム」シリーズの生みの親として知られる富野由悠季監督やガンダムファンで知られるミュージシャンのSUGIZOさん、映画監督の本広克行さんも出席。SUGIZOさんは「僕らが夢を見た平和的な未来をテクノロジーを用いて具現化していただけたらありがたい。引き続き研究をよろしくお願いします」とエール。本広さんが考え、制作した動くガンダムのCG映像も紹介された。

 富野監督は「人型のものを動かすということは、工学的にはどれだけばかばかしくて大変なことだけど、これを達成したときの応用技術がとても生まれるだろうと(思う)。ブレークスルーになるような要因ははらんでいると思う。一見、遊びごとかもしれないが、遊びごとができる日本という御世(みよ)はとてもステキなことだなと思う。新たに参加してくださった皆さんを含めてもうちょっと具体的に考えて、本広監督が考えているような、めでたい立ち上がるガンダムが見せられるもんなら、それは見せてほしい」とおなじみの“毒舌”を交えて語った。

 プロジェクトの技術監修を担当する早稲田大学副総長で同大理工学術院の橋本周司教授も「本当にばかばかしいところがあります。あの大きさのものが人間が我慢できるくらいの速さで動くというのは相当バカなことだと思う。友人のロボット学者には『バカなことを言うなよ』と(言われた)。だからこそ引き受けた。エンジニアリングを総動員しないとできないだろうと思う。この夢にエンジニアリングがどう応えるか。身も震える思いでやっていきたい」と意気込んだ。

 今回の企画にあたって設立された「一般社団法人ガンダム GLOBAL CHALLENGE」の代表理事、宮河恭夫・サンライズ社長、同法人理事を務める青木建彦・創通社長、中京大工学部のピトヨ・ハルトノ教授、ライゾマティクス社・代表取締役の齋藤精一さんも出席した。宮河社長は「壮大な夢だが、アポロ計画と重ねて考えています。月面着陸という壮大なプロジェクトだったが、その結果たくさんの技術を生み出した。18メートルのガンダムを動かすということはロボット工学的な意味は求められないかもしれないが、広げた大風呂敷に向かって試行錯誤することでロボットの技術の進行が促されるというふうに可能性を感じています」と語っていた。

 なお、11月2日~16年2月29日には、今回採用されたアイデアの改善案や新たな設計アイデアを再び募集。16年秋頃には実施に向けた計画を策定し、17年には実施設計プロジェクトを進め、19年の計画実現を目指すという。

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