話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、那智泉見さんの「社畜人ヤブー」です。PHP研究所の伊丹祐喜さんに作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
“社畜”というと会社の家畜で労働に甘んじて人間としての尊厳を失っている……というようなネガティブなイメージが浮かぶのかもしれませんが、“社畜人”の薮隣一朗はとことんポジティブ。彼にかかれば、残業は“会社へのおもてなし”、低賃金は“控えめな自分へのじらしプレイ”。ブラック企業も低賃金もすべて前向きにとらえ、超人的なスキルで仕事をこなしていきます。そしてそんな彼の働き方は、“ゆとり”“さとり”世代の若者をも“社畜の園”に巻き込んで変えていきます。主人公の活躍だけでなく、まわりのキャラたちの成長も楽しめるお仕事ラブなマンガです。
お気づきの方も多いかと思います。タイトルは昭和最大の奇書、沼正三先生の「家畜人ヤプー」からいただきました。マンガのテーマとして“社畜”を考えた瞬間に“会社の家畜=家畜人ヤプー”とつながって那智先生には「タイトルは『社畜人ヤブ―』でお願いします!」と提案させていただきました。微妙な笑顔でだまって、うなずかれていたのはいい思い出です。会社の年配者からは「よくこの企画通ったね」とこれまた微妙な笑顔で声をかけられたのもいい思い出です。
キャラクターの造形やストーリーは那智先生が作り、こちらからは“社畜的”なビジネスネタを用意しました。非常にうまくそれらをストーリーにのせて楽しく描く手腕には脱帽です。制作に際して某大手企業のスーパービジネスマンの方々に取材をしたりもしましたが、那智先生も会社員をされていた時期があり“働くこと”について深く向き合った経験もあったからこそ、読み手に伝わる作品になったんじゃないかと思います。
発刊して1週間もたたないうちに増刷が決まりまして、続編に関しても検討中です。一般企業さまとのコラボなども面白いと思います。募集中です!(社畜スーツとか)
発刊に際してPVを作りました。テーマソング的な感じで楽曲提供を京都で“社畜コア”を掲げて活動している「Justice For Reason」というバンドにお願いしました。ぜひ見ていただけたらと。特設サイトは作中で薮さんたちが働くB企業のサイトの体裁で公開されています(笑い)。あと、モーションコミックでコラボをしておりまして(来年6月公開)出演していただける声優さんを募集しております。こちらもよろしくお願いいたします。
PHP研究所 エンターテインメント出版部 PHPCOMIX 伊丹祐喜
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