注目映画紹介:「のぞきめ」 板野友美の初主演作 のぞかれるという普遍的な恐怖を描くホラー

「のぞきめ」のワンシーン (C)2016「のぞきめ」製作委員会
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「のぞきめ」のワンシーン (C)2016「のぞきめ」製作委員会

 元AKB48の板野友美さんが初主演したホラー映画「のぞきめ」(三木康一郎監督)が2日に公開される。映画は、ホラー作家・三津田信三さんの小説(角川書店)が原作で、テレビ局の新米ADである主人公が、日常のあらゆる隙間(すきま)から視線を投げかけ、目が合った人間を恐怖のどん底に突き落とす怪異“のぞきめ”にまつわる事件の真相を追う。板野さんが三嶋彩乃を演じるほか、白石隼也さん、入来茉里さん、東ちずるさん、武田玲奈さん、吉田鋼太郎さんらが出演している。

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 テレビ局でADとして働く三嶋彩乃(板野さん)は、ある青年の怪死事件を取材する。青年は腹がよじれ、口から泥を吐き出した異様な姿が死んでおり、青年の恋人は「“のぞきめ”の仕業だ!」と恐怖に震えていた。2人は大学のサークルで山奥の合宿で、ある出来事に遭って以来、ずっと何かに“のぞかれている”気がしていたという。そして、関係者にも次々と“のぞきめ”の悲劇が起こり……というストーリー。

 原作の小説が呪いや怪談を扱っていながらも、ミステリーとしても論理的な展開を見せる構成が秀逸だが、映画もまた謎解き要素を盛り込みつつ、恐怖心をあおってくる。恐怖にはさまざまな種類があるが、今作では「誰かに見られている」という日常的に存在する恐怖に焦点を当てているため、誰しもが想像しやすく思った以上にぞっとさせられる。ストレートな恐怖表現は要所要所にしか登場しないが、あらゆる場所に存在する数ミリの隙間(すきま)から視線を感じるという現象が肝になっているため、登場人物たちが建物の中にいるたびに、びくびくさせられてしまう。観念的な怖さを中心に描いているため、過激なホラー表現が苦手な人もサスペンス調のストーリーとして楽しめるはず。ラストの展開は切なさと怖さがあり、少々寒気がした。2日から角川シネマ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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