プリキュア:新作が肉弾戦を封印した理由とは 話題のキャスティングは…

「キラキラ☆プリキュアアラモード」のビジュアル(C)ABC-A・東映アニメーション
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「キラキラ☆プリキュアアラモード」のビジュアル(C)ABC-A・東映アニメーション

 人気アニメ「プリキュア」(ABC・テレビ朝日)シリーズの第14弾「キラキラ☆プリキュアアラモード」が5日、スタートする。時代の流れと共に変化してきた同シリーズだが、新作では“スイーツ”と“アニマル”というありそうでなかったテーマ、見どころの一つだった肉弾戦が封印されることなどが、放送前から話題になっている。新作を手がける東映アニメーションの神木優プロデューサー、暮田公平監督、貝澤幸男監督に、テーマの選定、新たなバトル表現、キャスティングなど疑問をぶつけた。

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 ◇これまでスイーツがテーマにならなかった理由

 「プリキュア」シリーズは、普通の女の子が妖精たちの力を借りて伝説の戦士・プリキュアに変身し、さまざまな困難に立ち向かう姿を描くアクションファンタジー。2004年に第1弾「ふたりはプリキュア」がスタートした。新作「キラキラ☆プリキュアアラモード」は、“スイーツ×アニマル”がテーマで、スイーツが大好きな中学2年生・宇佐美いちからが、伝説のパティシエ・プリキュアに変身し、悪い妖精から思いが詰まったスイーツを守る姿を描く。

 神木プロデューサーは、テーマの一つにスイーツを選んだ経緯を「プリキュアは魔法使い、プリンセスなどその都度、女の子に一番人気のあるテーマを選んできました。小学低学年の女の子を対象に調査をすると、お菓子屋さん、パティシエを将来の夢として挙げる子供が多かったんです」と説明する。一方で「これまでもスイーツをモチーフにすることを考えたことがあったのですが、戦う女の子と本当に相性がいいのか?と見送られてきたんです。例えば、チョコレートを投げて、戦うわけにはいかないですし」とも話す。

 同シリーズの“生みの親”とも呼ばれる東映アニメーションの鷲尾天プロデューサーは以前、インタビューで「プリキュア」に共通するヒロイン像について「りりしくあること、よく食べることを大切にしています」と話していた。「プリキュア」のメインターゲットは女児で、子供はアニメを見て、まねをすることから、食べ物を粗末に扱うような表現は避けてきたのだ。

 スイーツは女児に普遍的な人気があるものの、テーマに選ぶことは、同シリーズにとって挑戦となる。貝澤監督が「食べ物は大切なので、作りすぎて失敗して、破棄するシーンがあってもよくない。栄養があって、力になるところを訴えたい」。神木プロデューサーが「敵でも食べ物を捨てない」と話すように、細心の注意を払っているという。

 ◇スイーツ×アニマルでオリジナルジャンルに

 「キラキラ☆プリキュアアラモード」は、スイーツと共にアニマルもテーマになっている。神木プロデューサーは「スイーツというテーマに少し味付けをすれば、表現の幅が広がり、オリジナルジャンルになると考えていた」と明かす。主人公・いちかが変身するキュアホイップは、ウサギのような耳があり、うれしいと跳びはねるクセがあり、まるでウサギのようなキャラクター……というように各キャラクターは動物をイメージした設定が特徴だ。

 神木プロデューサーは「例えば、3歳の子供はマカロンを知らないかもしれない。でも、ネコやイヌは分かる。覚えてもらいやすいんですよね」と考えているようだ。さらに暮田監督は「スイーツだけでは、イメージが少し弱いかもしれないが、アニマルもテーマになることで、色などもイメージしやすくなる」とも話す。

 ◇肉弾戦ではなくエフェクトでバトル!?

 「プリキュア」シリーズはこれまで、女の子たちがパンチやキックなどを繰り広げる肉弾戦も見どころになってきた。しかし、「キラキラ☆プリキュアアラモード」では、神木プロデューサーの「チョコレートを投げて、戦うわけにはいかない」という言葉にもあるように、肉弾戦がなくなる。貝澤監督は「殴る蹴るはないですね。敵もそれは同じです」と断言。神木プロデューサーは「肉弾戦はシリーズの代名詞でもあったので、大切にしてきた。考えた末の決断です。一方で、スイーツのときめきをバトルに生かしたい。物理攻撃でなくてもバトルを描けるんではないか?と考えた。挑戦をしたかった」と話す。

 暮田監督は、今回のバトルシーンについて「スイーツを作ったり、食べる楽しさをバトルでも生かせないか?と考えました。バトルでもときめきを見せたい。エネルギー源をホイップの形にするなどスイーツをイメージしたエフェクトで戦うことになります。アクションも楽しく見せられるように、試行錯誤中です」と説明する。

 ◇声優選定は?

 新作は、豪華な声優陣も話題だ。ドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」などで子役として活躍した美山加恋さんが宇佐美いちか(キュアホイップ)、子供番組「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」(NHK・Eテレ)で“まいんちゃん”として人気を集めた福原遥さんが有栖川ひまり(キュアカスタード)を演じ、村中知さん、藤田咲さん、森なな子さんもプリキュア役として出演する。

 神木プロデューサーは、声優の選定について「オーディションには、多方面で活躍されている方を呼んでいただきました。キャスト起用は、キャラクターに合うかだけを考えています。まさか、こんなことになるとは!?と驚きつつ、うれしくもあります」と話す。

 ◇伝統と挑戦 自由な発想も

 新作は、肉弾戦をなくすという新機軸を打ち出しつつ、シリーズの伝統も守る。神木プロデューサーが「等身大の女の子が思いを持って前に進んでいくという軸は同じ」と話すように、脈々と受け継がれてきたコンセプトは変わらない。一方で、同シリーズは、時代に合わせて変化してきた。神木プロデューサーが「ほかに参考作品があまりないので、きちんと自分たちで考えていかないといけない。歴史を大事にしますが、自由な発想も大事にしたいんです」とも話す。

 また、暮田監督は「スイーツを作ることへのときめきを感じたり、主人公たちを見て『こういうお姉さんになりたい!』というところが感じられる作品にしていきたい」と意欲を見せる。

 新作は、シリーズの伝統を守りつつ、革新的で新たな「プリキュア」像を見せてくれるかもしれない。「キラキラ☆プリキュアアラモード」は、ABC・テレビ朝日系で5日から毎週日曜午前8時半に放送。

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