初音ミク:伝統芸能、NHKの異色コラボの狙いとは? “本気”で新しいステージを

「初音ミク×鼓童 スペシャルライブ」のイメージビジュアル(C)Crypton Future Media,INC.www.piapro.net/(C)SEGA  Graphics by SEGA/MARZA ANIMATION PLANET INC.
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「初音ミク×鼓童 スペシャルライブ」のイメージビジュアル(C)Crypton Future Media,INC.www.piapro.net/(C)SEGA  Graphics by SEGA/MARZA ANIMATION PLANET INC.

 歌声合成ソフトから誕生した人気キャラクター・初音ミクと太鼓芸能集団・鼓童の初のコラボライブ「初音ミク×鼓童 スペシャルライブ」が3月4、5日の2日間、NHKホール(東京都渋谷区)で行われる。NHKの関連団体・NHKプロモーションの企画で、同プロジェクトのPR映像がNHKで放送されているのを目にした人もいるかもしれない。初音ミクと伝統芸能、NHKという異色にも見える組み合わせが実現した経緯とは? また、一体どんなライブになるのか? NHKプロモーションの“中の人”に理由を聞いた。

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 ◇東京五輪を見据え、国内外にアピール

 初音ミクとNHKはこれまで、まったく無縁だったわけではない。昨年、初音ミクがNHK交響楽団創立90周年記念公演に出演したことも話題になったし、NHKラジオ第1でボーカロイドで制作した楽曲を取り上げる「エレうた!」が放送されたこともあった。初音ミクは2015年にテレビ朝日系の音楽番組「ミュージックステーション」の特番に登場するなど、“人気歌手”としての地位を確立しつつあるが、お堅いイメージも強いNHK、さらに伝統芸能との組み合わせは、異色に見えるかもしれない。

 「初音ミク×鼓童 スペシャルライブ」を企画したのは、美術展やコンサートなどを企画、運営するNHKプロモーションだ。同社の森哲也エグゼクティブプロデューサーは、今回の企画の経緯を「NHKでは、2020年の東京五輪・パラリンピックを契機に、文化面においても国際社会に日本文化の理解を促進するとともに、改めて日本の若者たちにも、日本文化の素晴らしさや面白さを知ってもらう機会を作ろうと考えました」と説明する。

 初音ミクと伝統芸能という組み合わせについては「世界的にも人気を博し、今では日本を代表するアーティストにもなった初音ミクと、世界47の国と地域で5800回を超える公演を行っており、日本人アーティストとして初めてノーベル平和賞コンサートに出演したり、2002FIFAワールドカップ公式アンセム曲の参加など国際的な評価、実績の高い鼓童に出演を依頼させていただきました」と話す。東京五輪を見据え、国内のみならず、世界に日本文化をアピールするのが狙いのようで、ライブの模様はNHKでも放送されるという。

 ◇コラボで新たな世界観を

 ライブでは、鼓童の和太鼓や笛に加え、バンドの演奏も加わる。バンドは、初音ミク関連のイベント「マジカルミライ」「HATSUNE MIKU EXPO」にも登場したメンバーが参加するといい、森プロデューサーは「おなじみのバンドメンバーによる演奏に、鼓童の迫力ある和太鼓や風情を醸し出す笛などがコラボすることで新たな世界観をお楽しみいただけると思います。アレンジも和太鼓や笛の音を生かしつつ、これまでの初音ミクの世界観を踏襲したものになっています。初音ミクのファンも鼓童のファンも、どちらも初めてという方にも十分にお楽しみいただけると思います」と話す。

 演奏曲は「千本桜」「初音ミクの消失」「ワールドイズマイン」「桜ノ雨」などの人気曲が並び、「初音ミクファンにだけではなく、放送などを通じて多くの方にも楽しめる選曲をお願いした結果、初音ミクのライブイベントのプロデューサーを担当しているクリプトンの関本亮二さんが渾身(こんしん)のセットリストを作り上げてくれました。あまりにも素晴らしいセットリストなので、この後のライブのセットリストに悩まれるくらいのようでした(笑い)」と自信を見せる。

 また、今回のイベントのために制作された映像もあるといい、ファンが満足できるライブを目指しているようで、「これまでの軽快な振り付けと歌はもちろん、ほんの一部だけご紹介しますと、今回のために特別に収録した和風姿の初音ミクもご覧いただけます。また、鼓童のメンバーと太鼓をたたく共演もありますので、楽しみにしてください」と話す。

 さらに、来場者に限定の太鼓型ペンライトをプレゼントするなど、ファンの心をつかむための施策も抜かりない。初音ミクとコラボすることで、流行に飛びつき、利用しているだけなのでは……などと思う人もいるかもしれない。しかし、森プロデューサーの言葉からは、ファンの目線に立ち、演奏、選曲、映像などにこだわり、これまでにない新しいステージを丁寧に作ろうとしていることがうかがえる。“本気”のコラボに注目したい。

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